白いアルパカにエサをあげる様子


旧山古志村。
新潟県中越地震(2004年)の被災地として知られる村落です。
山古志村は2005年の市町村合併により長岡市の一部となりました。
しかし「棚田」「闘牛」「ニシキゴイ」など独自の産業や文化は、たゆまぬ復興へのエネルギー源として今も生きています。
2021年の夏の日、そんな山古志のさらなる魅力を探しに出かけました。


【中山隧道(なかやまずいどう)】
この日の目的地は、地図で見つけた「中山隧道」。
「隧道」とはトンネルの古い呼び名だそうです。
今は使われていない古いトンネルに行けば「涼しさ」と「探検気分」を味わえるはず。
そんな期待が高まります。

中山隧道は、ちょうど旧山古志村と魚沼市の境に位置しています。
高速道路のアクセスは、関越自動車道・小千谷(おぢや)インターチェンジから約20km。
四方を山に囲まれた旧山古志村の中でもかなりの奥地です。

山古志の曲がりくねった道路
夏草が生い茂る中、カーブと上り下りの多い道を車でくねくねと進んでいきます。
道路は舗装してありますがかなり狭くなっています。
慎重に運転し、車酔いしやすい方は薬を飲むなどの対策をおすすめします。


中山ずいどうの入口と駐車場
「この先はどうなっているんだろう?」
ドキドキしながら進んでいくと、急に視界が開けました。
奥には小さなトンネルがあります。
丸太を組んだような形のトンネル入口には「中山隧道」の文字が。
目的地に到着です!


中山ずいどうの公衆トイレ
周辺は平らに整備されていて、身障者用を含む広い駐車場とトイレ、そして東屋がありました。

いよいよ隧道の中に足を踏み入れます。
内壁は岩肌がむき出しでデコボコ、ゴツゴツしています。


中山ずいどう内部のゴツゴツした壁
展示されているパネルによると、驚くことに、この隧道は手作業で掘られたとのこと。
およそ900mの長さをツルハシで貫く工事は1933年に始まり、戦争による中断を経て1949年までかかったそうです。
「道」という集落の物流や医療の命綱を、文字通り命がけでつないだ先人たち。
そこにはどれだけの苦労があったことでしょう。


中山ずいどうの壁に下げられた温度計
隧道の中は摂氏26度。外よりも涼しく快適です。

中山ずいどうの地面の溝
隧道内の地面は平らなので車椅子でも入ることができます。
ただ、両端には水の流れる溝があるので、通路の中央を通ってください。


山古志アルパカ牧場の外観
【山古志アルパカ牧場】
次は、来た道を戻りつつ、新しい観光スポットとして人気の「山古志アルパカ牧場」へ立ち寄ります。震災後、アメリカから寄贈されたアルパカは山古志の地で順調に増え、今ではおよそ60頭にもなっています。


小屋の中でぐったりしているアルパカ
牧場の標高は約330m程度。
太陽が近く、平野部よりも暑く感じます。
アンデス山脈原産のアルパカもやっぱり暑そう。
大部分が小屋の中で休んでいました。


干し草を食べるアルパカ
一方、数頭の活発なアルパカは、日なたを散歩したり干し草を食べたりしていました。
わたしもエサをあげましょう。


アルパカのエサ販売コーナー
手洗い場で手を洗ってからカプセルトイの販売機でエサを買います。

アルパカのエサ
アルパカは、粒状に固められたこのエサが大好き。
手やお皿に入れて差しだすと、首を伸ばして食べに来ます。

アルパカになめられたり唾を飛ばされたりするのが怖いと思う人もいるかもしれません。
でも、そこは生き物同士。
こちらが心を開いて穏やかに接すれば心配ありませんでした。

柵の周辺は平らなので車椅子でも近くに行けます。
ただ、角度によっては柵に遮られてアルパカが見えにくいかもしれません。

「おらたる」の入口スロープ
【やまこし復興交流館 おらたる】
最後に、トイレと水分補給のため「やまこし復興交流館 おらたる」に立ち寄ることにしました。

「おらたる」の入口にはスロープがあり、建物内部にはエレベーターと多目的トイレも設置されています。

「おらたる」のニシキゴイ
建物に入ってすぐ、特産のニシキゴイが迎えてくれました。
トイレと水分補給を済ませ、2階の「震災メモリアル施設」を見学します。


地形模型シアターの説明パネル
フロアの一角では、プロジェクションマッピングを活用した「地形模型シアター」が上映されていました。
震災直後から刻々と変わる被害状況と、救助のための大胆な決断。
自然と人間が真っ向から向き合った軌跡を追体験できました。

模型の手前と左右にベンチ型の観覧席が設置されています。
また、1度に1台まで、車椅子に乗ったままシアターへの入場が可能です。


「おらたる」の展示コーナー
ほかに、震災の被害や避難、復旧の様子がわかるパネルや生活用品も数多く展示されていました。
その中でわたしの心に残ったのは、横になっている高齢者を布団ごと避難させている写真。
「誰一人取り残さない」という山古志の強い意志と底力を感じました。


紙カップに入った越後姫のソフトクリーム
その後、1階のカフェで新潟のブランドいちご「越後姫」のソフトクリームを購入。
口当たりはさっぱりしていて、素材を生かしたやさしい味でした。


山古志の美しい棚田
ここで、カフェの店員兼案内係の方とおしゃべりしました。
「中山隧道に行かれたんですね!コウモリには会いました?」
(え、コウモリが出るんですか?ちょっと会いたかったかも)
「東竹沢には地元食材にこだわった手打ちそばのお店があるんです」
「種苧原(たねすはら)では棚田の絶景が見られますよ!」
「三ヶ(さんが)には行きました?」
(地区ごとの解説が詳しすぎる!)
まるで東京・山手線の中にいるようなきめ細かな紹介は、山古志への愛があふれていました。

バリアフリーに関してもていねいに教えていただきました。
事前に相談することで、さまざまなバリアを現地の方と一緒に乗り越えられそうです。



帰りぎわには、カフェに併設する売店で山古志の伝統野菜「かぐらなんばん」のみそあえを買いました。
涼しさを求めて訪ねた山古志は意外に暑く、人々のおもてなしはあたたかい(むしろ熱い?!)ものでした。
さあ、あなたも今の山古志を体験してみませんか?


中山隧道とアルパカ牧場のVR動画
https://www.city.nagaoka.niigata.jp/shisei/cate02/vr-movie.html

やまこし復興交流館 おらたる
https://orataru.net/

【ご注意ください】
・記載の内容は旅をした当時のものです。
変更されている場合がありますので、各施設等の情報は事前にご確認ください。

女性/40代 発達障害

信越地方在住。
発達障害(自閉スペクトラム症/ADHD)の特性をもつ。
事務系のクローズ就労とオープン就労を経て、現在は主婦。
趣味は文通、アドベンチャーゲームとバウムクーヘンの食べ比べ。

もともとはインドア派のわたしですが、ドライブとアウトドアが大好きなパートナーの影響で少しずつ出掛ける機会が増加中。
感覚過敏で疲れやすいため「低刺激の旅」を心掛けています。
失敗や反省もまるごとつづった旅行記を書いていきたいと思っています。

旅行エリア
中部, 新潟県, 長岡市
旅行期間
対象読者
発達障害 精神障害 その他
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関連タグ
ADHD自閉症発達障害ドライブ避暑アニマルセラピーグルメシアター田舎