SLクリスマス号は、新山口駅から津和野駅までの約63キロメートルを約2時間で走ります。
通常は「SLやまぐち号」として走っていますが、毎年クリスマスの時期は「X」のヘッドマークをつけて、特別列車「SLクリスマス号」として運行されます。2021年は12月25日、26日の2日間でした。
私「SLクリスマス号って人気があるんでしょう?よく空席があったよね。」
友人「うん、ラッキーだった。でも、私が予約したとき、ちょうど最後の2席しかなかったんだよ。」
私「わあ、それは本当にラッキーだ。ありがとう。」
友人は前日に予約したそうです。人気の列車に、前日も空席があったとは考えにくいので、おそらくキャンセルした方がいたのでしょう。
昔ながらの蒸気機関車がゆっくりと新山口駅を出発。ホームでは駅員さんたちが旗を振って見送ってくれていました。
列車が走り出すと、私はすぐに車内を散策しました。
まず、バリアフリートイレが設置されているのを見つけました。
授乳やオムツ交換に使用できる多目的室もありました。
売店には、真っ黒な「石炭ワッフル」など、乗車記念になる商品が並んでいます。私はヘッドマークがデザインされたノートを買いました。
途中、SLが仁保(にほ)駅で停車すると、すぐに乗客がいっせいに降りていきました。
私「みんな急いでどうしたのかな?」
友人「写真を撮るんじゃないかな。あと、石炭を継ぎ足すところが見られるよ。」
私「継ぎ足す?」
友人「石炭を燃やした蒸気で走ってるんだから、燃料を足さないと。」
私「そうだった、電気じゃないんだよね。」
手際よく石炭を火室(かしつ)に入れていく様子を見ることができました。これは重労働です。
友人「これは私にも無理そうな仕事だなあ。」
私「私は絶対に無理だな。」
私は線維筋痛症があるので、少し動いただけで疲れたり、体が痛くなったりしてしまいます。
友人「でも、私よりパワーはあるんじゃないの。」
私「持続力がゼロなんだよね。」
主治医からは「体を動かすように」と言われているのですが、もともと運動が好きではないので、なかなか治療が進んでいません。
友人「むしろ、石炭をくべる係をやってみたら持続力がつくかもよ。」
私「もうちょっと負荷の少ない運動から始めるよ。」
しばらく進むと雪が降り始め、空が曇ってきました。そんな寒空の下、SLを撮影している人たちがたくさんいるのが窓から見えました。
私「このSLは本当に人気があるんだね。」
友人「2日間だけヘッドマークがクリスマス仕様だから、ファンが撮影に来るんだと思うよ。」
列車に乗っている私たちに向かって手を振る人もいて、和やかな雰囲気でした。
車掌さんが改札にやってきて、切符に山口県の鳥「ナベヅル」がデザインされたスタンプを押してくれました。
私「これは記念に持って帰りたいな。」
友人「そうだね。折り曲げないようにしなきゃ。」
すると、向かい側の席に座っていたおじさんと若い男性が声をかけてくださいました。
おじさん「そのスタンプはなかなか乾かないから、しばらく触らない方がいいですよ。ちょっと待ってね。」
そして、小さなメモ用紙を取り出して私たちに渡してくださいます。
おじさん「その紙でそっとスタンプの部分を押さえて、余分なインクを取るんです。そうしたらきれいに保管できますよ。」
男性「今日は湿度が高いから、余計に乾きにくいかもしれませんよね。」
友人「なるほど、ありがとうございます。もしかして、何度も乗車されているんですか?」
おじさん「うん、このSLが好きでね、もう10回は乗ってるかな。今年は仕事の休みと、クリスマス号の日がちょうど合ったから、急いで予約したんです。その切符のインク、僕もはじめ失敗しちゃったんですよ。」
男性「私も失敗したことがあります。私も10回は乗りましたね。」
私「お2人はご友人ですか?」
おじさん「いやいや、さっき初めて話したところ。」
男性「たぶん私たちは、往復の4時間全部をSLの話で楽しめます。」
友人「それは素敵。私たちにもSLの魅力を教えてください。」
男性「それはぜひ。」
私たちは4人でSLの話をしながら、乗車の時間を楽しみました。一期一会を大切にするのも、旅の魅力だと思いました。
・<7 SLクリスマス号・その2>(
https://www.cotravel.jp/diary/index.php?uniqueid=5eedb2cc6624a)に続きます。
SLやまぐち号:
https://www.c571.jp/index.html
NHK NEWS WEB「クリスマス仕様の蒸気機関車『SLクリスマス号』運行 JR山口線」2021年12月25日:
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211225/k10013403781000.html
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