能登食祭市場でお昼ごはんを食べることにした私たち。
友人「何を食べようか?」
私「なんでもいいよ。」
友人「いや、もうちょっと考えてみてよ。あなた、いつも食べた後で困るじゃない。」
私「そうだった。うーん、今はちょっと疲れてるから、揚げ物はやめておいた方がいいかもしれない。」
友人「分かった。」
私は線維筋痛症があり、すぐに疲れてしまったり、体がだるくなったりすることがあります。また、10年ほど前まで摂食障害であまり食べていなかったからか、油分の多いものが得意ではありません。嫌いではないので食べるのは問題ないのですが、特に体調があまり良くない時に食べると、後から気分が悪くなってしまうことがあります。
他にも、コーヒーを飲んだ後に乗り物に乗ると体調が悪化するなど、ピンポイントで「これは避けたほうが良い」という食べ方があります。
私たちは、和食の「加賀屋」というお店に入りました。店内は落ち着いた雰囲気で、照明の色が真っ白ではなく、やや暖色系なのも気に入りました。私には感覚過敏があり、他の人には気にならないぐらいの明るさでも、まぶしくてつらいと感じることが多いのです。
私「まぶしくない。これは過ごしやすい。」
友人「そうなの?たしかに、温かみがある感じはするけど。」
私「うん。これは私的にポイント高いよ。」
友人「独特な採点システムだね。」
席に案内された私たちは、さっそくメニューを選びました。
私「私はこの『能登はやさしや膳』にする。治部煮(じぶに)が食べたいから。」
友人「私は海鮮丼が食べたいな。『しおかぜ』にしよう。」
私「ランチでこの値段は、ちょっと予算オーバーだけど。」
友人「たまにはいいじゃない。せっかくの旅行だからおいしいものを食べようよ。」
私には、具体的な心配事がなくても不安になりやすいという特性があります。この時のように「お金がなくなるかもしれない」と不安になることも多いのですが、きちんと計算してみると、予算内に収まっているということもよくあります。
私「ところで、『能登はやさしや膳』って、どう読めばいいのかな?『能登、はやさし、や、膳』?」
友人「最後の『や』は『だなあ』ぐらいの意味として、じゃあ『はやさし』って何だ?」
すぐに言葉の意味に関心を持ちがちな私は、ぐるぐると考え始めました。友人も私が言葉に興味があることを知っているので、一緒に考えてくれました。
友人「でも、時間があまりないから、まずは注文しよう。すみませーん。」
スタッフ「はい、お伺いします。」
友人「しおかぜ膳を一つ。」
私「ええと、私はこのお膳をお願いします。」
スタッフ「はい、『能登は やさしや 膳』ですね。お待ちくださいませ。」
スタッフが下がっていった後、私たちは顔を見合わせました。
私「『能登は』で区切るのが正解だったのか。」
友人「じゃあ、『やさしや』は、優しいっていう意味なのかな。」
調べてみると、「能登はやさしや土までも」という、能登の風土を表す言葉があることが分かりました。「人はもちろん、土までも優しい」というような意味だそうです。
私「曇ってきたね。雨が降らないといいけど。」
友人「たぶん大丈夫、能登は空も優しいよ。」
こちらが「能登はやさしや膳」です。
私「うーん、おいしい。あったまるなあ。」
友人「念願の治部煮だね。良かったね。」
私「見て見て、このラディッシュの切り方。すごく薄いよ。」
友人「おお、これはすごい、熟練の技。」
私「コンタクトレンズみたい。」
私たちはおいしい料理をゆっくりと味わいました。
ごはんを食べ終わると、私たちは、観光列車の「花嫁のれん」号を予約していたので、すぐに駅へ戻ることにしました。
私「走らなくて大丈夫かな。」
友人「大丈夫。ゆっくり歩いても間に合うよ。」
ですが、電車が楽しみで、私たちはついつい小走りになりました。
・<5 花嫁のれん号>(
https://www.cotravel.jp/diary/index.php?uniqueid=5eedb2cc6623c)に続きます。
能登食祭市場:
http://www.shokusai.co.jp/
はんだ郷土史研究会「能登はやさしや土までも」:
https://handakk.com/blog/%E8%83%BD%E7%99%BB%E3%81%AF%E3%82%84%E3%81%95%E3%81%97%E3%82%84%E5%9C%9F%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%82%82/
農林水産省「じぶ煮 石川県」:
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/jibuni_ishikawa.html
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