2022年1月、私は所要のため和歌山へ出かけました。用事が早く終わったため、フリーの時間ができた私は、知らない土地で一人何もすることがなく不安になっていました。私は、発達障害の特性で「先の見通しがないととても不安になる」ということが頻繁に起こります。
なんとか気持ちを落ち着かせようと思い、友人にメッセージを送ってみました。
私「今、和歌山駅にいるんだけど、急に時間が空いてしまって。どうしよう。」
すると、すぐに友人が返信をくれました。
友人「不安なんでしょう。コロナ対策をしっかりすれば、出かけたほうが良いと思うよ。」
私「でも、どこに行けばいいか分からない。」
友人「そういえば、猫好きだったよね。猫駅長に会いに行ったらいいんじゃない?」
私「猫駅長?」
尋ねると、友人は和歌山電鐵のホームページのURLを送ってくれました。
私「これはいい!さっそく行ってみるよ。ありがとう。」
友人「良かった。気を付けて行ってらっしゃい。」
和歌山電鐵貴志川線は14キロメートルあまりの路線です。
2003年には廃止が検討されましたが、存続運動が盛り上がりをみせ、2005年に岡山電気鉄道が子会社をつくり、経営を引き継ぎました。
2007年には猫の「たま」が貴志駅の駅長に任命され、話題になりました。残念ながら2015年に「たま」は亡くなってしまったそうですが、現在は「ニタマ」という猫が駅長職を継いでいるとのこと。
和歌山電鐵のホームへ行くには、地下通路を通る必要があります。地下へ下りるエスカレーターはありますが、上りのエスカレーターやエレベーターはありませんでした。車いすユーザーの方などが電車に乗る場合は、あらかじめ駅に連絡をしておく必要がありそうです。
途中下車するかもしれないので、800円で1日乗車券を購入しました。和歌山駅から終点の貴志駅までの運賃は片道410円なので、往復するだけでもお得になります。
精神障害者の割引運賃などは設定されていませんでした。
ホームの時計にかわいい猫の耳がついています。
停まっていたのは「うめ星電車」。和歌山の特産品「南高梅(なんこううめ)」をモチーフに、多くの観光列車を手掛けている水戸岡鋭治(みとおか・えいじ)氏がデザインした車両だそうです。車内が気になった私はさっそく乗り込みました。
カラフルですが同系色でまとめられており、細かい模様も調和のとれたステキな座席。どこに座ろうか迷ってしまいます。
優先座席には、ふかふかの背もたれが付いていました。
つり革の一つが猫型になっています。
一角に、和歌山の特産品の展示コーナーもありました。お土産を選ぶのにも参考になりそうです。
小さなテーブル付きの席があったので、ここに座りました。
私は発達障害特性の感覚過敏があるため、長時間メガネをかけ続けることができないので、メガネを置くのにテーブルはとても助かりました。
まずは「ニタマ」駅長がいる貴志駅に行くことに決めたところで、電車が動き始めました。田畑や住宅地がすぐ近くに見え、地域の生活に密着した路線なのだと感じました。
駅長の勤務予定は、ホームページで確認することができます。「体調や気温等の状況により臨時のお休みをいただく場合があります」と注意書きがあるところが、猫らしくて良いなと思いました。
人間は障害や病気で日々の体調に変化があっても、体調に合わせた働き方で生活できるだけの収入を得られる人はまだ少ないと思いますが、猫駅長のように多くの人が「その働き方が良いね」と感じる社会になっていくと良いと思いました。
・<中編>(
https://www.cotravel.jp/diary/index.php?uniqueid=5eedb2cc6621d)に続きます。
和歌山電鐵:
https://www.wakayama-dentetsu.co.jp/
和歌山県 総合交通政策課「和歌山電鐵、紀州鉄道、その他の鉄道について」:
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/020500/tetudou/tamadesu.html
公益財団法人日本交通文化協会「水戸岡鋭治」:
https://jptca.org/mitooka_eiji/
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