「『阿寺ブルー』と呼ばれる阿寺川の美しさは本当だったね」と話しながら、友人と私は山道を引き返しました。
私「日本には、ほかにもきっと○○ブルーと呼ばれる川があるんだろうね。」
友人「高知の四万十川の四万ブルーは有名かもしれないね。神奈川にもユーシンブルーと呼ばれる渓谷があるよ。」
私「へえ、あとで調べてみよう。」
友人「インターネットが使えるようになってからだね。」
私「そうだった、電波が届かないんだった。」
阿寺渓谷の駐車場へ向かう道の途中で、スマートフォンの電波が届かなくなり、インターネットも電話も使えなくなっていたのです。阿寺渓谷に行く際は、前もって必要な情報を調べておく必要があります。また、安全面にも十分に気をつけなくてはなりません。
しばらく進むと、ようやくインターネットと電話が使えるようになりました。
友人が道のわきに石碑のようなものがあるのを見つけたので、止まってみると、「狸ヶ淵(たぬきがふち)・狐ヶ淵(きつねがふち)」とありました。
「狸ヶ淵・狐ヶ淵」という名前は「タヌキやキツネが化けた姿の出来ばえを水に映して見た」という言い伝えによるものだそうです。
狸ヶ淵も絶景スポットのようです。
木につかまりながら川のそばまで下りてみました。川まで下りる道は整備されていませんが、車からも川の色ははっきりとわかるので、移動が困難な方も楽しめると思います。
私「ここも水の近くまで来られる良い場所だね。」
友人「でもタヌキはいないね。」
私「冬だもんね。」
阿寺渓谷には、タヌキとキツネ以外にも動物の名のついた地名がたくさんあります。昔は実際にたくさんの動物が見られたそうです。
例えば、「熊ヶ淵」は辺りで熊の親子が水遊びをしている姿が見られたことから、そう呼ばれるようになったとのことです。豊かな自然の中で暮らしていた動物たちと、昔の人々。その生活に思いを馳せるのも、阿寺渓谷の楽しみ方のひとつだと思います。
友人は「狸ヶ淵」がずいぶん気に入ったようで、河原をずっとあちこち歩いていました。
私「おーい、そろそろ戻ろうよ。暗くなるよ。」
友人「もう少しだけ。」
私「暗くなったらタヌキとキツネに化かされるよ。」
友人「あなたこそ、もうしっぽが出てるよ。」
私は思わず振り返って、自分にしっぽがないことを確かめてしまいました。私は発達障害の特性から、冗談がすぐには理解できないことがあるのです。
狸ヶ淵を離れて車に乗り、少し町の方へ戻ったところで、「雨現(うげん)の滝」という詩的な名前のついた場所を見つけました。
雨の日にだけ現れる滝だそうです。滝があると思われる方を何度も見てみましたが、それらしきものは見当たりませんでした。
4時を過ぎて薄暗くなってきたと思いましたが、遠くの山は夕日を受けてとても明るく見えました。高い山がたくさんあるので、少しの場所の違いで、光も影もそれぞれ深いのだと思いました。
どうにか暗くなる前に阿寺渓谷の山道から出て、国道に戻ることができました。
私「阿寺渓谷は改めてゆっくり訪れたい場所だったね。」
友人「できれば夏にね。」
私「同感。さすがにちょっと寒かったね。」
夏にはマイカー規制があるので、近隣の駐車場から出ているシャトルバスに乗る必要があります。みんなで環境保全に努め、美しい「阿寺ブルー」をずっと保っていきたいものです。
今回訪れた場所にはバリアフリー設備は見当たりませんでした。
<9 道の駅大桑村と木曽福島編>(
https://www.cotravel.jp/diary/index.php?uniqueid=5eedb2cc66204)に続きます。
大桑村観光協会公式ホームページ おおくわナビ「阿寺渓谷 みどころ・民話」:
http://www.vill.ookuwa.nagano.jp/kankou/plays/nature/nature_atera/nature_attractions.html
阿寺渓谷天然温泉の宿 フォレスパ木曽あてら荘「阿寺渓谷シャトルバス」:
https://forespakiso.jp/atera_bus.php
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