渓谷沿いの山道を10分ほど走ったところで、携帯の電波が途切れてしまいました。
私「参ったなあ。電話もインターネットも通じないとなると、なんだか心細いよ。」
友人「慎重に進まないといけないね。カーナビのGPSもダメだし。」
私「普段、どれだけ通信技術に頼っていたかが良く分かるね。」
友人「もし脱輪でもしたら、JAF(日本自動車連盟)に連絡するのも大変だ。」
私「やめてよ。ただでさえ緊張してるのに。」
友人「ごめんごめん。でも、そろそろ着くんじゃないかな。」
私は発達障害特性があり、一つのことを不安に感じると、その考えにとりつかれたようになり、違う考えが全く浮かばなくなることがあります。ネガティブに考えがちなので、ありもしない悪い想像にとらわれていることもあります。
すると、前方に広い駐車場が見えてきました。
私「ほんとだ、やっと駐車場だ。ほっとしたよ。」
緊張で肩に力が入っていたのが、やっと楽になりました。
駐車場に阿寺渓谷の地図がありました。
私「ずいぶん来たと思ったけど、まだまだ先があるんだね。」
友人「キャンプ場があるんだ。夏はにぎわいそうだね。行ってみる?」
私「わあ、もう十分。ここで川を見ようよ。」
友人「この地図の写真の川は見事なエメラルドグリーンだね。本当にこんなにきれいな色をしてるのかな?」
私「ちょっと現実離れしてる気がするよね。写真だから実際よりきれいに見えるのかも。」
ところが、駐車場から歩いて少し下ったところに見えた阿寺川は、写真以上にきれいな色をしていました。水は本来、透明ではなく青緑色の物質だと聞いたことがありますが、ここで見られるのはまさにその色だと思います。
川までは岩や木の根をつかみながら下るので、車いすやつえなどを利用している人はそばまで行くのは難しいかもしれません。でも、車の中からでも阿寺川の色がきれいに見えるスポットはあちこちにあるので、みんなで楽しめると思います。
これは友人が撮った写真です。河原の石を撮っただけのように見えますが、川底の石の写真です。水の透明度が高いので、このようにくっきり写ったとのことです。
川の上につり橋が見えたので、行ってみることにしました。
川の周囲にはさまざまな種類のコケがありました。水の色に負けないほどの鮮やかな色です。
「ポイ捨て禁止」、「バーベキュー禁止」の札があちこちに立てられていました。
阿寺渓谷は長く秘境のような場所だったそうですが、近年テレビやインターネットで美しさが紹介されるようになり、渋滞が起こるほどの人気スポットになりました。それに伴い、ゴミのポイ捨てなどが問題になったため、2021年4月から条例が施行され、バーベキューやポイ捨てが禁止されたそうです。
発達障害特性のある私は、気をつけていても忘れ物をしてしまうことがよくあります。自分自身ももちろん忘れ物に困りますが、渓谷にゴミを忘れてしまっては、他人の迷惑になるだけでなく環境破壊にもつながってしまいます。ゴミや私物を置き忘れていないか、意識しながら歩きました。
つり橋が見えました。予想していたよりも細く、渡るのが怖くなってきました。
それでも、勇気を出して橋の上まで進みました。橋から見る川の色は格別でした。青い川の流れを一目で見ることができるので、勇気を出して渡ってみるのもお勧めです。また、冬の木々も私の出身地の九州とは全く様子が違い、落葉した後のセピア色がとても美しいと思いました。
友人「そろそろ引き返そうか。山道で暗くなったら嫌だよね。」
私「そうだね。まだまだ川を眺めていたいけど、ぼちぼち帰らないとね。」
私たちは車に戻り、安全運転でゆっくり帰路につきました。
・<8 阿寺渓谷・冬なのに動物がたくさん編>(
https://www.cotravel.jp/diary/index.php?uniqueid=5eedb2cc66203)に続きます。
木曽広域観光公式サイト 木曽路.com「【大桑村】阿寺渓谷内におけるバーベキュー等の禁止について」:
http://www.kisoji.com/kisoji/news/aterarule.html
大桑村観光協会公式ホームページ おおくわナビ「阿寺渓谷」:
http://www.vill.ookuwa.nagano.jp/kankou/plays/nature/nature_atera/nature_atera.html
JAF(日本自動車連盟):
https://jaf.or.jp/
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