上信越自動車道の横川サービスエリアは、群馬県安中市にあります。
東京方面に向かって運転していた私は、休憩のため横川サービスエリアに入りました。車を停めて目に入ったのは、「おぎのや」と書かれた大きな看板でした。
「あれ、私は横川に来たはずだよね。『おぎのや』って何だろう。」
すると友人が私を見て、
「知らないの?有名なのに。峠の釜めし屋さんだよ。」
「へえ、釜めし屋さん。たしかに、みんな釜めしを食べてるみたいだね。」
発達障害のある私は、「多くの人が知っていることを全く知らない」ということが良くあります。例えば、流行している化粧品を全然知らないので友人との会話に入れないこともありますし、俳優さんも全く覚えておらず不思議がられることもしょっちゅうです。
ですが、普段の生活ではあまり困っていません。それは、私の興味の範囲が狭いのを「そういうものだ」と受け止めてくれる友人たちに恵まれているからだと思います。
食べ終わった後の「釜」を回収するボックスがありました。
「おぎのやの『釜』を持ち帰って、何にも使わず家に置いているという人が多いらしいよ。」
「まあ、記念に持ち帰りたくなるよね。でも実際何に使うかというと、うーん、何だろう。」
屋外のお店に並んでいた下仁田ねぎです。安中市と隣接している下仁田町産なので、新鮮なものに違いありません。
下仁田ねぎは、生ではとても辛いそうですが、熱を加えるととろりと甘くなるのが特徴。鍋物と相性抜群の食材です。
りんごもありました。私はここで「陽光」という品種を初めて見ました。真っ赤でおいしそうです。
売店に入ると、野沢菜の商品がいっぱいでした。
「おいしそうだね。野沢菜のしょうゆ漬け、わさび漬け。」
「わさび!私はわさびはいらないや。」
「そうか、わさび苦手だったね。」
「苦手じゃなくて、絶対にダメ!」
「そんなに?見るだけは大丈夫でしょう。」
「私は向こうの方を見てるから、どうぞごゆっくり。」
わさび嫌いの友人は、他のコーナーへ行ってしまいました。
売店には、車両がどーんと展示されています。旧国鉄の車両だそうです。この車両の中で食事もできるのです。
現在、横川駅はJR信越本線の群馬県側の終着駅となっていますが、以前は峠を越えて軽井沢駅へつながっていたそうです。
廃止前の横川駅を再現しており、展示されている車両は、横川駅から軽井沢駅をつないだ急行「志賀」が再現されています。
「車両の中でプリンを食べようよ。」
「プリンがあったっけ。」
「パン屋さんにあるんだけど、釜プリンだったよ。」
「釜?」
私たちはパン屋さんで「釜焼きプリン」を買い、車両に乗りました。
「釜めしよりずいぶん小さい釜だね。」
「そりゃあ、釜めしサイズのプリンは食べきれないよ。」
卵の味が濃くて、しっかりと固く焼かれた食感が良いプリンでした。
電車で旅行している気分を味わえます。私たちのほかにも何組か、車両での食事を楽しんでいる方々がいました。
「これは良いね。電車で旅行したくなってきた。」
「そうだね。新型コロナウイルスが流行してから、旅行はなかなか難しいもんね。」
「コロナ禍が収束したら旅に出よう。」
「いいね。電車に乗って駅弁を食べたいな。」
どこか懐かしい感じがする車内です。私の地元の九州でも使われていたことがある車両とのことなので、もしかしたら小さい頃乗っていたのかもしれません。
「まさか、高速道路の途中で電車に乗れるとはね。」
「1回で2回分旅行を楽しんだ感じがするね。」
「今度は釜めしを食べよう。」
リフレッシュした私たちは、安全運転で次の目的地に向かいました。
ドラぷら 横川SA上り:
https://www.driveplaza.com/sapa/1810/1810031/1/
峠の釜めし本舗おぎのや:
https://www.oginoya.co.jp/
りんご大学 りんごの品種「陽光」:
https://www.ringodaigaku.com/main/hinshu/yo/youkou.html
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