鉱山内を進む白杖おじさん。


【今回の旅行記・お出かけの目次】
① 全身で味わう!トロッコで坑道内へ
② アトラクション性も!坑道内の音声解説
③ さわって見えてきた、坑夫たちの思い
おわりに――坑道内を出る時の感覚、それを味わうだけでもここに来る価値があると思う。
※施設の概要・バリアフリー情報


そこには木の葉の甘い香りが立ち込めていました。

ここは、栃木県日光市の足尾銅山観光。

知人から「設備的にはバリアフリーではないけれど、視覚障がい者が楽しめるスポットだった」と聞き、やってきました。

トロッコから見える緑
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①全身で味わう!トロッコで坑道内へ
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わたらせ渓谷鉄道は、紅葉のトンネルを抜け、「通洞駅」に到着。
ここから徒歩で目的地へ。

今回の旅先の足尾銅山観光は、すでに閉山した銅山内を一部開放している施設なんだとか。

正直、歴史で勉強した「足尾鉱毒事件」の暗いイメージがあったこの土地。
しかし、実際に来てみると、山々に囲まれ、近くには川も流れる、のどかな場所でした。


※写真・足尾銅山から車で30分ほどの場所には「華厳(けごん)の滝」という有名な滝も。


さて入場ゲートに到着。

ここからトロッコに乗り、坑道内へ。

発車すると、ガタンガタンという音を立てながら、車体は進んでいきます。
風を切りながら、駆け抜けるトロッコ。

そのまま進んでいくと・・・
お!!


山にぽっかりと空いたトンネルが。
あれが坑道か!

車体はその中へ吸い込まれます。


パッと暗闇に包まれ、カラッとした空気は、ひんやりと湿った空気に。

レールを走る音がトンネル内に響きわたります。
暗いトンネル内には電灯が点々と並び、その中を滑りぬけるトロッコ。
探検気分がわいてきますね。

そして、少し行った所でトロッコは停車しました。

坑道内のレール脇を歩く白杖おじさん。
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②アトラクション性も!坑道内の音声解説
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ここからトロッコを降り、徒歩で坑道内へ。

銅山内は中を流れる水の音が響いていました。

レールの上を歩いていくと、その先に空洞が。
腰をかがめながら、入っていきます。

そして、音声解説も。
なんでも、江戸時代にはここで採掘された銅は通貨や、日光東照宮、江戸城にも使われていたんだとか。
この暗く狭い洞窟から、きらびやかな建築が生まれていたんですね。


それを聞きつつ進んでいくと、何やらボタンが。

なんだろうか・・・?
押してみると・・・


ガガガガガガガーーーーー!!!!
な、なんとドリル音が。

坑道内で聞くドリル音、迫力あります。


そして、またボタンが。
再び押してみると・・・・

ウウウーーーー
な、なんと今度はサイレン音が!!?
え?え?うろたえるおじさん。

さらに、男性の声が。
「予定通り発破をかけます!現場の係員は避難誘導お願いします!」

ええええええ!!?????
何これ?ボクここにいて大丈夫??
慌てるおじさん。

男性の声「発破します!3・2・1」
わわわわわーーー!
腰がひけるおじさん。
バーン!!!!
爆発音とともに風が。

男性の声「発破完了!」
・・・な、なんだ。ただの爆破シーンの紹介音声か。
本気で驚いたおじさん。

このほかにも、銅山が閉山してしまうのではないか?という作業員たちの会話の様子など、アトラクション性もある音声解説となっていました。

作業員の人形
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③ さわって見えてきた、坑夫たちの思い。
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銅山の中にはこんなものも。

くわのような形をした器具、帽子をかぶった坑夫の姿をした人形。
※当時の作業員の恰好をした人形


さわれる位置に置いてあります。

この人形の姿が、トンネルを進むにつれ、江戸時代、大正時代、昭和の姿へと変わっていきます。

消毒・手袋着用で、作業員のおじさんたちをさわっていく白杖おじさん。
奥に進むにつれ、人形の格好は帽子をかぶった姿からヘルメット・作業着姿へ。
道具も木に近いものから、がっしりとした斧(おの)のようなものへ。


※写真:作業員の人形と一緒に岩を掘る気分のおじさん。


人形だけではなく、壁や天井にも変化が。

はじめは腰をかがめなければいけないほど細く、岩がむき出しの穴でした。
が、徐々に背を伸ばして歩けるぐらいの広さになり、地面もきれいに整備された岩に。
さらに進み、天井や壁をさわると、鉄で囲われるように。

むき出しの岩。木で支えられている。


鉄で囲われた天井や壁。
そこでボクはハッとしました。

最初の壁はむき出しの岩でした。
鉄で囲わなければいけないほど、いつ崩れるかもわからない岩がむき出しだった。
坑夫たちは、いつ命が奪われるかもわからない空間の中で生活をしていた。

彼らはどんな思いで、この岩を見つめたのだろうか・・・
と、岩に手を置きながら、ボクは考えたのでした。


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おわりに――坑道内を出る時の感覚、それを味わうだけでもここに来る価値があると思う。
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見学を終え、出口へ。

電灯だけの薄暗い坑道内を抜け、太陽の光が降り注ぐ屋外へ。
体を覆っていたひんやりと湿った空気は、温かな空気に変わりました。
そして、風が木の葉の香りを運んできます。

ボクはそこで体の緊張がほぐれていくのを感じました。
坑道内というのは、こんなに圧迫感があるものだったのか。
地上というのは、こんなに心安らぐものなのか。
「この感覚を体で味わうだけでも、ここに来た甲斐があったかもな」
そう感じました。

彼らも帰るたびこんな思いをしたのだろうか。
山々の上の青空を見上げながら、ボクはまた坑夫たちのことを思ったのでした。


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施設の概要・バリアフリー情報
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▼足尾銅山観光
https://ashiokanko.com/

▼バリアフリー情報
〇視覚障がいポイント
・坑道内など音声解説、さわれるものも多くあります。
・駅から徒歩5分ほど。
・足元など少し悪い部分あり。
・坑道内暗め。
・坑道内が少し長めなので、施設の方に案内などは頼みにくいかも。



謎の日光仮面なるキャラクターとポーズを決めるおじさん


男性/30代 視覚障害

東京都青梅市出身、練馬区在住の榎戸 篤(えのきど あつし)です。
テレビ番組の制作会社で働きながら、ライターをしています。

【障がい】
・視力は左0.06、右0。
・3歳の時、保育園で転んでケガをし、弱視に。
・現在は、白杖・単眼鏡を持ったり持たなかったりしながら、ふらふらしています。

【好きなモノ】
つけ麺/お酒/建築/読書/フロアバレー/ニュース

【執筆媒体】
障がい者ライフスタイルメディア「Media116」
http://www.media116.jp/
など。

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uj092021@yahoo.co.jp

記事は、ひとつひとつを丁寧に、懸命に、心をこめて・・・書かせていただきます!

旅行エリア
関東, 栃木県, 日光市
旅行期間
対象読者
視覚障害 発達障害 精神障害 高齢者 補助犬ユーザ その他
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関連タグ
視覚障がい者弱視全盲お出かけスポット東京近郊栃木県日光