山に埋もれているようなブータンのゾン、手前の欄干に食われかけ君が置かれている

     


2016年、ブータンの旅。
旅中は聞こえなくても目で見てわかるコミニュケーションツールとして指差し会話できる本と紙のメモ帳を持って行きました。指差し会話で使用した本はこちら。
●地球の歩き方2016〜17ブータン(発行所:株式会社ダイヤモンド・ビッグ社)
●旅の指さし会話帳ブータン81ゾンカ語(発行所:株式会社情報センター出版局)
●紙のメモ帳

遠くのワンデュ・ポダン・ゾンを下から見た写真


舗装された道を車で走っている、前方に1台トラックが走っている
2012年に火事で全焼し修復中のワンデュ・ポダン・ゾンの横を通って、中部地方のブムタンへ向かう。ワンデュ・ポダンからブムタンまで結構な距離があるので1日の中の大半が移動時間だ。


ふとドライバーさんやガイドさんが窓の外を指さして私に言う。「マリファナ(大麻)です」

「え!大麻?!どこどこ?!」と興奮気味に見る。日本では報道番組で「大麻違法所持」とか「違法栽培」とかいう字面でしか目にしないので興味津々の私である。



野生している藪のような大麻草と食われかけ君、大麻草の葉は小さい
めちゃくちゃ生えてるー!雑草というか藪にしか見えない。このような光景が見れるのはブータンだけかもしれない。大麻草は日本でも神社のしめ縄とか、服などの材料としても昔から使われてきたもの。昔の日本もこんな感じで生えていたんだろうか。



舗装されていない凸凹の泥道を車で走っている
どんどん道を行く。このような道はガッタンゴットンとけっこう車体が揺れる。ブータン旅で酔い止め薬の携行が推奨される所以である。




青空の下の小さな市場と数人の人、野菜がたくさん置いてある、食われかけ君がいる
ブータン版、道の駅というところだろうか。ここはノブディン。休憩としてここで一休み。ガイドさんが何かを買っていた。



野球ボールくらいの大きさのチーズがポリバケツにたくさんある
バケツの中にブータンチーズのダツィがあった。触らせてもらったがカチコチに硬くて軽い。ブータンでは三食腹いっぱいの料理が出されるのでお腹空かないし食べないだろうと思って買わなかった。後で思えば珍しいものだから一つ買ってみたら良かったかもしれない。



ブータン民族衣装をきた著者とブータンの谷
ブータンの世界に浸る私。さて、そろそろまた出発するか。


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ティーカップの茶と米の上に数種類の料理が盛られている
1時間ほど移動した先のレストランで腹ごしらえ。ブータンの料理は大体ピリ辛。




長さ20センチほどのナイフを持つガイドさん、口には爪楊枝をくわえている、ガイドさんの横にキュウリ数本
すらっとナイフを取り出すガイドさん。


助手席で横切りされたキュウリを左手で持っている
さっきノブディンでかったキュウリを切ってくれた。シャクシャク!水々しくて新鮮!

ちなみに車の座席位置は助手席に私、後部座席にガイドさんだ。ブータンでは車は高速で走らないのでガー、ゴーとかいう走行音で聞こえにくいということも少ない。観光ポイントが見えるとガイドさんが後部座席からニュッと顔を出し指を指して教えてくれた。

大半の時間を移動中の車の中で過ごす。私はブータンのゾンカ語の指さし会話帳を持っていたのでそれを使って会話を楽しんだ。ガイドさんとドライバーさんのぷちゾンカ語教室にもなったりする。ゾンカ語の指さし会話帳はとてもおすすめだ。

車内でちょっとした遊びをする。私がゾンカ語でOKの「トゥップ」と言うと、ガイドさんがNOの「ミトゥップ!」と反対の言葉を出し、「へへへ」と悪戯っぽく笑う。

筆談する紙は小さいと車体の揺れで書くのが大変。車での旅なので、筆談用の紙は大きめのサイズを用意すると良いと思った。



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猿が3匹いる。大人猿1匹、母猿1匹と赤ちゃん猿1匹
お猿さーんだよー!



トンサ・ゾンが見える渓谷と手前に食われかけ君
トンサまで来た。深い渓谷にあるトンサ・ゾン。ここはブータン第3代国王の生家があり、ブータンの「王家の谷」として知られる。今回はここから見るだけ。後日行く予定。



強大なキノコのような建物
トンサのタ・ゾン国立博物館。館内撮影禁止なので外観だけ撮影。



フローリングと木板の壁の食堂、食卓がたくさん並ぶ
日も落ちる頃にブムタンの宿泊地、リバー ロッジ(River Lodge)に到着。本日の旅はここまで。この写真は食堂である。

受付にはスタッフが2人とオーナーらしき人がいた。



上半身の似顔絵男性1点、女性2点
本日の似顔絵を描く。もう営業時間が終わろうとしている時間だったので撮影して画像を見ながら部屋で描いた。朝になったら渡そう。

到着して夕食をすませた後、部屋でガイドさんとドライバーさんがビールを持ってきてくれて酒盛り。仲良くなれて嬉しい。


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右から朝日が射す食堂の窓側の席、窓から雲がかかっている山と青空が見える
ぐっすり寝ておはようございます。今日も良い天気。朝食の用意をしてくれている人に昨日描いた似顔絵を渡すように頼み、あなたも描いてよろしいかと聞く。OKをもらったので今日の夜描こう。

さて、今回ブータン旅行記3回目で今更だがグル・リンポチェとペマ・リンパについて解説する。ブムタンを観光するこの名前が何回も出てくる。

グル・リンポチェの仏画
グル・リンポチェはヒマラヤ地方に仏教を伝えたとされるパドマ・サンババ。ブータン国教の開祖でもあり、尊称として「グル・リンポチェ(至宝の師)」と呼ばれている。ブータンの各地で悪霊を調伏した伝説がある。



ペマ・リンパはお告げによりグル・リンポチェが後世のために隠した法典(釈迦の教え)を発見した高僧。ブムタン生まれ。有名な伝説に水底にある法典をランプの明かりを灯したまま潜って、水から上がってきた時も明かりが灯ったままだったという。現ブータン王家のご先祖さまでもある。


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ケンチョスム・ラカンの外観、2階建、庭に国王と王妃の写真が飾られている
ケンチョスム・ラカン。ラカンは寺院のこと。2009年に火災があったが2016年の時点でご覧のように修復されていた。



ケンチョスム・ラカンの中、吹き抜けに6本の大柱がある、仏画や装飾がたくさん
かつては中庭だったらしい場所。現在は屋内になった様子。ペマ・リンパが土地の大蛇を調伏した証拠とされる石が見える。他にも昔チベット軍が持ち帰れず腹いせに割ってしまった伝説の鐘もあった。

ここでの観光をすませ、次の場所へ歩いて行く途中にガイドさんが「あそこに大麻生えてますね」
ここにも生えているのか。本当にあちこちに生えているんだな。

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前方を歩いているガイドさん、Y字に分かれている道の右手に小屋がある
道中。右手に小屋が見える。



小屋の中、上から吊られた三角錐の入れ物から臼に何かが落ちている
小屋の中を見ると二人の男性が何かを臼で挽いて粉にしていた。下に流れている川を利用して、臼を水力で動かしているそうだ。



2人の男の上半身似顔絵、右の絵は粉にしている臼とセットの男
お二方を描く。右の人はリクエストでご自慢の臼もセットで描いた。突然の来訪にも関わらず描かせてくれてありがとう。


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クジェ・ラカンの外観、チョルテンやダルシンがみえる
グル・リンポチェの聖地、クジェ・ラカン。グル・リンポチェの御影(クジェ)が法力で焼きついた岩がある。8世紀当時ブムタンの王様が土地神を怒らせてしまい病になってしまった。グル・リンポチェが瞑想によって土地神を調伏した時の御影と言われている。御影は撮影禁止である。


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ブータン様式の建物
クジェ・ラカンから歩いて古民家のようなレストランに到着。

ドライバーさんとサングラス、透明なお酒が入ったショットグラス、酒瓶
こちらはブータン焼酎のアラ。サングラス(ドライバーさんの私物)とアラを入れた酒瓶を用意しまして。


酒瓶を左手に持ち右のショットグラスの酒を飲む民族衣装を着ている著者
ぐいっと!


酒の強さに口をいの形になった顔をする著者
かぁ〜ッツ!!結構強い!日中のお酒を飲むなんて贅沢!最高!


ご飯を食べている著者とガイドさん
そしてがっつりランチを食べる。うまうま。腹もふくれたらレジャーを楽しもう。ダーツができるらしい。



木と鉛のような金属でできたダーツ2本が手のひらにある
こちらが木と鉛のような金属のダーツの矢。大きくてずっしり。金属部分が持ち手になる。


地面に板の的とダーツの矢が4本が刺さっている
地面に刺さっている木の板が的になる。


ダーツの矢を持ち構えるドライバーさん
的は二つあって、反対側の的の位置から矢を投げる。投げた後もう一回やる場合は向こう側から投げる。わざわざ往復しなくて済むので効率的だ。

私とガイドさん、ドライバーさんで勝負!ルールは単純。的に一番近い人が勝ち。結果は私がビリ。ドライバーさんが優勝した。

(ブータン式ダーツは「クル」と呼ばれる。)

ダーツで汗を流したらお次はお風呂だ。ブータンの宿ではシャワーが基本だが、伝統の焼き石風呂のドツォというのがある。事前に払った旅行代金とは別料金がかかるとのことだが、せっかくなので入浴することにした。




草が生えている庭に焚き火と浴室がある小屋がある


焚き火で大きな石が焼かれている
風呂の近くで焚き火して、石を焼く。

浴室から外に突き出ている風呂桶、ガイドさんと風呂を管理している人がいる
その後、外まで飛び出ている風呂桶の中に焼き石をいれてお湯を沸かす。


浴室内のお湯をチェックしている管理人
出来上がり。焼き石が入っているところと入浴するところの間には穴の空いた仕切りがあるので焼き石が転がってくることはない。



3畳ほどの浴室の中、プラスチックの椅子がある
浴室の中。私が入った浴室はこれよりも狭い。脱衣もこの中で行うため、バックパックや衣類を置ける場所はこの椅子1つだけだった。補聴器やカメラなど、湯気の湿気で壊れてしまわないか心配な人はジップロックとか密閉性の高いものを持参と安心。私は横に打ち付けられている板の狭い幅のところに補聴器やスマホを置いた。

入り心地は最高!やはり熱いお湯につかりたいのが日本人の心情である。高山地帯だからか酒も入っていたからか少しのぼせてしまった。

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ジャカル・ゾンの外観、小高い山の上にある


ジャカル・ゾンの内部、通路を取り囲むように3階建の建物がつながっている
その後に行ったジャカル・ゾン。



チャムカル商店街、広い道路の両脇に平屋のような店が並ぶ、前方に山が見える


チャムカル商店街のキオスクのような小さな店、小学校低学年くらいの男2人がいる
チャムカル商店街。



理容師が著者のヒゲをカミソリで剃っている、鏡にはスマホで撮影しているガイドさんが写る
ここの床屋でヒゲを剃ってもらう。ホテルのアメニティに髭剃りはなかったし、日本から持ってきてもいなかったのでサッパリしたかった。ヒゲを剃る時はシェービング剤は使わず水で濡らすだけ。そうかシェービング剤はあれば便利だがなくても別にいいのかと気づきを得る。


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ローカルレストランの中、四人がけのテーブル席、カウンター、壁にテレビ、柱にはブータン模様がある


料理5品、米、ステーキ、パスタのようなもの、野菜料理が2つ
夜はローカルレストランで食事。




ここで働いていたお二方を描く。

著者とレストランの女性と記念写真、女性が「Portrait×Japan」のプレートを持っている


女性が描いてくれた似顔絵、thank you so much!と書かれている
似顔絵の右の人がお礼に私にかわいい似顔絵を描いてくれた。とても嬉しい!ありがとう!




外に出ると真っ暗である。ブムタンでは夜遊び行けるところはなさそうだ。もしあっても今日は結構疲れたから行けそうにない。リバーロッジに帰ってもう寝よう。





リバーロッジで朝食の用意してくれた女性の似顔絵、バックに花が描かれている
寝る前に朝の食堂で似顔絵を描く約束した人の絵を描いて就寝。

ガイドさん、ドライバーさん今日も観光案内や私のために通訳、写真撮影など色々ありがとう。今回もブータン旅を満喫できて大満足!

男性/30代 聴覚障害

外国に行くと「ケニチロ」と呼ばれてしまう著者。
宮城県仙台市在住。生まれつき両耳70dBの聴覚障害があり補聴器をつけている。口話と手話を使う。英語など外国語が話せないが海外では知っている単語やジェスチャー、筆談を駆使してコミュニケーションを取る。
イラストなどのグラフィックや似顔絵の仕事をしている。読書や旅が大好き。この世界のことをもっと知りたい。私の旅の話が読者の旅の役に立てれば嬉しい。
障がい者のライフスタイルメディアMedia116で漫画連載。URLはこちらhttp://www.media116.jp/
ケンイチローのTwitterはこちらhttps://twitter.com/tdk1r

旅行エリア
アジア, ブータン, その他の観光地
旅行期間
対象読者
聴覚障害
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難聴ろう聴覚障害ブータン一人旅