手のひらに載せた山栗、周りにイガが落ちている

     


2021年9月中旬、知人と長野県塩尻市にある平出(ひらいで)遺跡に行きました。
平出の泉を見た私たちは、高床式倉庫の方へ向かって進もうとしたところでヘビに出会ってしまい、しばらく立ちすくみましたが、気を取り直して再出発です。

山道、木々の間から日の光がさしている


木々を見上げたところ、青空
「ヘビには参ったね。」
「もう出ないといいけど。」
「熊も出ないといいね。」
ヘビとの遭遇に、私はまだ少しドキドキしていました。
「あれ、上に見えるのは栗の木かな?」

地面に転がっている栗のイガ


栗の実が3つ入っているイガ
見ると、たくさんの栗が地面に転がっていました。
「これは山栗だ。売られている栗より甘いと思う。」
「そうなんだ。詳しいね。」
知人は昔、九州の田舎で栗拾いをしたことがあるそうです。

山の中にある、小さい古墳の看板
小さな「平出第3号古墳」の表示がありました。表示がなければここに古墳があると分からない茂みです。

少し先にある高床式倉庫
数十メートルほど歩くと、高床式倉庫が見えてきました。

屋根の上に木が生えている高床式倉庫
屋根から木が生えています。
「このままだと屋根が落ちてきてしまうんじゃないのかなあ。」
「風情はあるけど、たしかに心配だね。」

高床式倉庫の壁に貼ってある「物が落下します。軒下に入らないでください」の表示
「ものが落下します。高床式倉庫の軒下に入らないでください。」という注意書きがありました。
私には発達障害があり、「ふつう、大人ならこんな行動はしないだろう」と思われるようなことをしてしまう場合があります。この時も注意書きがなければ、うっかり軒下に入って遊んでしまうところでした。

道の横にある「クマ出没の恐れあり」の看板
高床式倉庫の見学を終えて歩き出すと、今度は「クマ出没の恐れあり」の注意書きがありました。熊が栗を食べに出てこないように念じながら進みます。

日が当たっている古墳


古墳の真上まで道が作られている


日の光が古墳の真上に当たっている
視界が開けて、古墳が現れました。小高い丘のような大きな古墳が「平出第1号古墳」で、6世紀中頃から7世紀中頃にかけての権力者の墓と考えられているそうです。上まで進めるように道が作られています。

銀色に光っているキノコ
古墳の上で何かが光った気がしたので行ってみると、銀色のキノコが生えていました。
「食べられるキノコかな?」
「さあ、私には分からないなあ。昨日は雨だったから生えてきたのかもしれないね。」

茶色の小さなキノコ


掘り出されているキノコ


土から出てきた2つのキノコ
気を付けてみると、他にもキノコがあちこちに見つかりました。

杭の上にとまっている赤とんぼ
今度は赤トンボを発見。

2つの杭の上に並ぶようにとまっている赤とんぼ
もう1匹飛んできました。並んで杭にとまっている姿がかわいらしかったです。

大きな筒状の遺跡
次は平出博物館に行く予定にしていたので、引き返そうとしたところで、目の前に長い筒のようなものが現れました。
「何だろう、ちょっと怖い感じがする。」
「お墓かな?」

真っ暗な筒の中
中の空洞は真っ暗です。

「菖蒲沢竈址」の看板
「なんだ、かまどの跡だった。説明があった。」
「古墳を見たばかりだからお墓かと思ったけど、そうか、土器を作るにはかまどが必要だよね。」

博物館入口
ようやく平出博物館まで戻ってきました。ヘビにも熊にも出会わずに済んでほっと一安心。

「入館案内」の看板
入館料は大人300円でした。入口には障害者割引などの案内は書かれていませんでしたが、念のためホームページを見てみると、「障がい者およびその介助者(1名)の方は入場料が免除になります」との案内があったので、窓口で尋ねたところ、私と知人は無料で入館できました。

展示物の中で私が気に入ったのは、「鳥形硯(すずり)」です。先ほど見たかまどの跡から発見された奈良時代のもので、鳥の形のオブジェのような硯です。羽が硯のふたになっているのがオシャレでした。硯があるということは、奈良時代には文字を書ける人がこのあたりに住んでいたのだな、と思いました。

「企画展 縄文土器サミット」の入口
私たちが訪れた時に開催されていた企画展は「縄文土器サミット」。全国各地の縄文土器が展示されていました。
この企画展の中で気になったのは、秋田県の遺跡から見つかったという「キノコ型土製品」。その名の通り、キノコの形をしています。大きさもちょうどキノコぐらい。
「わあ、かわいい!」
「器だけじゃないんだね。小さくて細かいなあ。器用な人が作ったんだろうね。」
「何に使ったんだろう?」
「私だったら家の中に飾るけどな。ステキだもん。」
説明書きがあり、食用のキノコを模していると考えられ、森の恵みに感謝するためのものだろうということでした。
他にも、小さなつぼ型のオブジェなどもありました。縄文時代の人々はセンスがあったのだなと感じました。

外にあるバリアフリートイレ
外に出たところにはバリアフリートイレもありました。
平出博物館は今後建て直しの予定だそうです。現在は2階建てですがエレベーターがなく、階段には車いすの方用の昇降機が取り付けられていました。新しくなったら、バリアフリー化も進められるのだと思います。
奥行きのある博物館で、今回は展示品すべてをゆっくり見られなかったので、近々また訪れてみようと思いました。

平出遺跡内は一部舗装されていない道もあり、そういう所は車いすなどでは通りにくいかもしれません。でも、全体的には広々としているので、誰もが楽しめる場所だと思います。ぜひ訪れてみてくださいね!

塩尻市立平出博物館:https://hiraide.shiojiri.com/
塩尻市観光ガイド時めぐり「平出遺跡」:https://tokimeguri.jp/guide/hiraideiseki/
塩尻市ホームページ「平出遺跡公園ガイダンス棟のご案内」:https://www.city.shiojiri.lg.jp/soshiki/78/3802.html

女性/30代 発達障害, 精神障害

九州地方在住。ボランティアから始めた地震被災者支援の仕事が終わり、現在将来を模索中。
発達障害、線維筋痛症、強迫神経症などあり。理解ある周囲のサポートを受けながら生活しています。
長く拒食症でしたが、今はおいしく食べています。旅先での食事もご紹介したいです。
・すきなもの:草、花、猫、スピッツを歌いながらドライブ
・すきな場所:お寺、水源、薄暗いところ
同じところにいても見ているものが違うとよく言われます。ちょっと違った視点での楽しみ方をお届けできたらうれしいです。

・発達障害者主体のNPO法人で活動しています。
HP:https://unevennpo.wixsite.com/decoboco

旅行エリア
中部, 長野県, 塩尻市
旅行期間
対象読者
発達障害 知的障害 精神障害 高齢者 その他
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関連タグ
発達障害ADHD自閉症LD線維筋痛症塩尻市平出遺跡平出博物館