私は草間彌生の作品が好きです。なんだか元気が出て、心が解放される感じが好きなのです。
パビリオン・トウキョウ2021にもオブリタレーションルームという草間彌生の作品があり、予約制で内部を見学できました。
表参道駅から青山通りを渋谷方向に歩いて、作品が展示されている渋谷区役所第二美竹分庁舎に向かいました。
途中にもパビリオンが2つありました。
1つ目は国際連合大学前のGlobal Bowlという平田徹平の作品です。
見た目は木製の巨大なサラダボウルにいくつもの穴が空いた様な作品です。
実際に触ってみたら予想通り木製でした。都会の四角いビルの無機質な空間で、曲線と木目が美しいこの作品に触っていると穏やかな心持ちになりました。
子供達がボウルの中を行き来して仲良く遊ぶ姿が、国際連合大学前という立地とマッチしていて感心しました。
作品の上部に登ったり、ぶら下がったりしないようにとの注意喚起の貼り紙がありました。作品の解説より目立ってしまって、作者の方が少し気の毒になってしまいました。
事故があれば出展者は安全管理を怠った責任を問われますから、これぐらい目立つ表示をしているのでしょうね。
続いての作品は藤原徹平のストリートガーデンシアター。国際連合大学のすぐ隣、旧こどもの城前に展示されていました。
近くでマーケットが開催されていたこともあり、植木売り場だと勘違いしてしまいました。
斜めの台に鉢植えがたくさん置かれています。板が複雑に組まれていて、なんだかピタゴラスイッチの装置みたいです。
いよいよオブリタレーションルームです。
草間彌生といえば水玉です。薄暗い区役所の入り口がこの看板一つでパッと華やかになりますね。
白い壁一面に水玉がいっぱい!
ところが、近づいてみると、水玉模様の白い自転車があることに気付きました。
オブリタレーションルームの周りには椅子やゴミ箱もあったのですが、無数の水玉シールのせいで、私には壁と物との境目が全く見えていなかったのです。
部屋の入り口の床に貼り紙がありました。
受付で靴を脱ぐように言われたので、「ここで靴を脱いでください」という注意喚起の貼り紙かと思いました。ところが貼り紙には「シールはルーム内に貼ってください」と書かれていました。
受付でもらった大小のカラフルな水玉のシール。私はてっきり記念品だと思っていました。
なるほど、これは参加型のイベントなのね。よーし、貼るぞー!
張り切ってはみたものの、会期終了前日なので、ほとんどの場所はシールで埋め尽くされていました。
そうだ、テーブルの裏側なら空いているかも。
ここはまだ余裕がありました。
来場者はみんな真剣にシールを貼る場所を吟味していました。
シールを貼る場所にこだわる人もいれば、貼り方にこだわる人もいるようです。ミッキーマウスや蝶のような形の作品もありました。
ここで終了。
参加型イベントって楽しいですね。丸いシールを貼るだけなのに、なんでこんなにも真剣になり、ワクワクするんでしょうね?
帰宅して靴下を脱いだら、小さな緑の丸いシールが貼り付いていました。誰かの作品を破壊してしまいました。
そもそもタイトルのオブリタレーションってどういう意味だっけ?
オブリタレーションとは英語で「消滅」という意味です。
真っ白な床、壁、椅子、テーブル。それらにどんどんシールを貼っていくと境目が同化して消滅してしまう。
私は弱視だから境目が分からないのだと思っていました。この作品では視力の良い人達も、普段経験しない、境目がはっきりしない体験をしていたのですね。
「セルフ・オブリタレーション」(自己消滅)は草間彌生の長年のテーマなのだそうです。
もし、再度オブリタレーションルームの展示があったら、水玉のワンピースを着て「セルフ・オブリタレーション」してみたいです。
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