弱視の友人から「ダンボールでできたお城と、ブルーシートでできたお城が、外苑前に展示されているので見に行こう」と誘われました。
2つのお城は、パビリオン・トウキョウ2021というイベントに展示されたもので、会田誠の東京城という作品です。
パビリオン・トウキョウ2021は7月1日から9月5日までいた、東京の街を文化の面で盛り上げようというイベントです。新国立競技場を中心に、都内各所に有名建築家やアーティストの作品が展示されていました。
イベントは9月5日に終了しましたが、興味のある方はホームページをご覧ください。
パビリオン・トウキョウ2021
https://paviliontokyo.jp
東京城は地下鉄銀座線の外苑前駅から歩くこと2分、いちょう並木入り口に建っていました。ブルーシートのお城は非常に目立ち、弱視の私達にもすぐにわかりました。
通りの反対側には、ダンボールのお城がありました。
私たちの近くにいた親子が、韮、キャベツ、とダンボールに書かれた野菜の名前を読み上げていました。
ダンボールのお城に近づいて単眼鏡で見てみると、確かに野菜が入っていた本物のダンボール箱でした。
野外展示っていいですね。よく見えていなくても、みんなのおしゃべりを聞いていると、見るべきポイントがわかります。
作品には解説がつけられているのですが、文字の色が薄くて見にくかったので、途中で読むのを断念しました。
写真を撮って後でじっくり見ることにして、作品に集中することにしました。
作品を見ていたら、スタッフの方からパンフレットをいただきました。
私たちは東京城を見学したら、新大久保のネパール料理店に行くつもりでした。しかし、徒歩圏内に複数のパビリオンがあると知り、他の作品にも足を延ばしてみることに。
目指した会場はワタリウム美術館向かい側の空地でした。
私たちは見逃すまいと、いつもよりゆっくり周りを見ながら歩きました。
小さな空き地に電光掲示板のようなものがありました。文字が流れて行くのですが、なんだか歪んでウニョウニョ動くのでカタカナぐらいしか読めませんでした。
こちらは真鍋大度(まなべ だいと)+Rhizomatiks(ライゾマティクス)の“2020-2021”という作品です。
2020年春の緊急事態宣言から現在までに収集した様々なデータをAIが生成する狂喜乱舞する東京の姿、と説明が書かれていましたが、私には理解不能でした。
なんだかすごい仕掛けらしいとは思いました。
ところがです。
「ねえねえ、見てよ。これただのカバーのせいでこんな風に見えてるんだよ!」
あろうことか友人が作品に手を触れて、カバーをめくっているではありませんか!
その下には新幹線の車内で見かけるような、くっきりはっきり読みやすい文字が流れていました。
私はカバーの仕掛け以上に彼女の行動にびっくりしてしまいました。幸い周りに人はいないようでしたが、他人の振りをしたくなりました。
しかし、よくよく考えてみれば、これは野外のイベント。こんなことは想定内でしょう。
作品を鑑賞した人のうち、何割ぐらいの人がこのカバーをめくったのでしょうか?
次はビクタースタジオ前の藤森照信の茶室「五庵」。
グレーのビルの前に、苔のようなもので覆われた緑の2階建ての建物は存在感があります。
1階には丸い穴があり、その上に四角い窓が3つ。
ここって中に入れるのかも。
そう思っていたら、上の方から楽しげな話し声が聞こえてきました。
茶室の上の方を見上げたら電気が点いていました。
受付の方にうかがうと、ワタリウム美術館で当日予約を受け付けているとのことでした。
茶室には入りたかったけれど、空腹には勝てず、パビリオン巡りはここで終了して、食事に向かいました。
茶室「五庵」には別の日に行くことにしました。
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