こちらはメキシコシティ、前回の記事のラストに出てきた革命記念塔の近くにある日本人宿ペンション・アミーゴの部屋。この宿では日本語だけで過ごせる。
部屋にある数台の机を同じ部屋の人たちがスペースを分け合いながら物を置く。この部屋の外にコインロッカーがあり、貴重品はそこに入れられる(南京錠は要持参)
2月のメキシコシティは昼はとても暑いが、夜になると一転とても寒くなる。寝るときは上着2枚着て眠った。薄手のダウンジャケットなんかあると過ごしやすい。
朝食が無料なので宿の人たちは、朝食の時間に1階のダイニングスペースに集まる。その時に色々情報交換したり、会話を楽しんだりする。私が泊まった時もほぼ日本人だった。ちなみにダイニングスペースの壁にはおすすめスポットや行っては危ないエリアなどの情報が書かれたマップが貼ってある。
宿のいる人たちが口を揃えて言う。「メキシコシティの人類学博物館は絶対行くべき!」
●●●
人類学博物館に行くため、宿近くにあるメトロ2号線のRevolucion駅からメトロ7号線のAuditorio駅までメトロで行くことに(Tacuba駅で要乗り換え)。メトロの車両には到着駅などを知らせる電光掲示板はなかった。
メトロに乗っていると、お菓子や雑貨を手に持った人が声を出しながら歩いてきた。日本ではまず見られない珍しい光景。(2017年に旅したインドの列車でもあった。)駅の売店の人とかではなく普通の人がやっている。私も「似顔絵〜!似顔絵〜!」とやったら需要あるだろうか。
メトロが停車する時は急停車のごとく荒い。私は手すり棒に頭をゴツンとぶつけていい音が出て、まぁまぁ痛かった…。
メトロ車内に掲示されていた各駅のシンボルマーク。Revolucion駅は革命記念塔のシンボルマーク。乗り換えができる駅はマークの上下に矢印で表記されていて分かりやすい。
難点なところは字が小さいので、初見だとかなり近づいて見るかスマホで取らないと分からない。
そしてメトロはラインごとに色で分けて表記している。メトロ2号線は青色、メトロ7号線はオレンジ色。シンボルマークやホームの案内板、駅名の看板も色分けされている。
Tacuba駅で乗り換え。
Auditorio駅に到着。駅には壁いっぱいの有名人の似顔絵!
改札口。改札口に付いているバーを前に押しながら回転させて通る形。身体検査はないが警備員がいる。天井から釣り下がっている案内板のスペイン語「SALIDA」は出口という意味。
駅から外に出るとすぐ近くに大きな建物が見えた!
「おー!これが人類学博物館!…?!え?休み??!」ちなみにこれは博物館ではない。国立劇場だ。
落ち込んだ私は写真にある階段に座って無駄な時間を過ごす。博物館が休みという現実(勘違い)を受け入れることができずガイドブックを確認して間違いに気づくことができて良かった。博物館はメトロ駅から少し歩かねばならない。
駅からの並木道を歩いてくるとアステカ神話の雨と雷の神トラロックの石像が見えてきた!今日の天気は快晴!ありがとう!
人類学博物館入り口。「良かったー!休みじゃなかった。」
入場料はメキシコ国民の障害者は無料。外国人障害者は免除対象ではないみたいだが、入場料は80ペソ(1ペソ=約5.4円)で安い。館内はフラッシュなしでの撮影は自由。動画は有料で可。
世界樹セイバの木をモチーフに作られたという巨大な噴水の柱が中庭にある。聖なる木、緑のセイバの木は世界の中心にあり、死の神が住んでいる地下界まで根ざし、枝は天界まで届くという。神話ほどの大きさではないがセイバの木は実在する。
博物館の中庭1階から右に入り、逆時計周りで館内を回っていくのが順路みたい。
1階が考古学フロアで2階が現在に生きる先住民の民俗学フロア。かなり広い。
人類の進化の過程の様子が展示されている。凄いクオリティ。
日本の博物館だとこれ以降から縄文時代へ移っていくのだけど、ここでは先コロンブス期のオルメカ文明、マヤ文明、テオティワカン文明、アステカ文明へと展開していく。
奥にあるのはトウモロコシだろうか。メキシコならではの古代人の光景だ。
トウモロコシの出土品。マヤの神話、ポボル・ブフでは人類は神がトウモロコシを使って作られたとされる。
人類学博物館のNo. 1撮影スポットはここ!太陽の石、アステカカレンダー。腰に巻きつけているのは防寒対策のパーカー。
ここで少し残念なのが、ここに近寄る時に3段の階段がありスロープがないので車椅子の方のバリアがあること。
2匹のヘビの頭が向かい合わさって1つの顔に見えるコアトリクエの石像。アステカ神話の太陽神のお母さん。
食われかけ君のお仲間発見。考古学フロアには本当に見応えのある展示品が数え切れないほどある。
2階の民芸学フロアも楽しいところである。
こういうの大好き!神話で水の女神チャウチウィトリクエが人類を魚に変えた話がある。魚に変えられている人だったりして。
良い〜!
オハアカの木彫り。カラフルな鹿。
カラフルなアルマジロ。
カラフルな梟と牛の仮面。
カララフルな猿と牛と…怪獣かな?どれも私の心を掴んで離さない。素敵すぎ!
メキシコシティの人類学博物館はGoogle Arts(
https://artsandculture.google.com/culturalinstitute/beta/u/0/partner/museo-nacional-de-antropologia-mexico )やGoogleマップのストリートビューで館内と展示品を見ることができる。新型コロナでメキシコに行けない方は是非どうぞ!
●●●
博物館を心ゆくまで堪能した私は外に出た。とても楽しかった。しかし、博物館周辺にも楽しいものをたくさん見ることができる。
謎のお香を焚く人
博物館を出てぶらぶらしていると4人の男が逆さまに空を舞っていた。
これはトトナカ族伝来の儀式、ボラドーレス。支柱の上から4人の男がクルクル回転しながらゆっくり降りてくる。回転していくほどロープが長くなる仕組みだ。博物館でたくさん刺激され興奮した気分を穏やかに鎮めてくれる。なぜか妙に心が落ち着く。
アステカの秘術で時空を越えてきたかのような人。これはもう記念写真を撮らねば!チップを出すと一緒に撮影してくれる。
●●●
楽しかったー!宿、ペンション・アミーゴに戻ってきて一休み。前回のようにメキシコシティでも似顔絵活動をしようと夕方ごろにまた出かける。
「レトラト(似顔絵)ー!レトラト(似顔絵)ー!」これを持って、声を出しながら宿周辺を歩き回る。ものすごく恥ずかしいが挑戦してみた。
メキシコシティはプエブラよりも人が多く、都会なためか声をかけれられることはなかった。
「まぁこんなものか…」と諦めモードに入るとお腹が空いた。メキシコのタコスはとても美味しいけど、ハンバーガーとかが食べたい気分だった。
夜になると宿周辺に屋台がたくさん出てるのだが大体がタコスの屋台。屋台じゃない店もタコスのお店。そんな中、宿の向かいの通り、すぐ近くにハンバーガーやホットドッグを売っている屋台を発見!今日の夕飯はそこで食べることにした。
屋台には小さなカウンターがあってハンバーガーを注文。カウンターにRETRATOのプレートを置いた。夕飯を黙々と食していると、カウンターにいた客が私のプレートを見て「似顔絵?私の子どもを描いてくれないか」と話しかけてくれた!喜んで承諾!
屋台の人に遠慮がちに膝で画板と髪を置いて絵を描いていたら、屋台の人が「カウンター使って描いていいよ!」と言ってくれた。ありがとう!
似顔絵は不思議なもので一人描くと、「次は私も」とか「この子も描いて」という人が次々でてくる。
そんな感じでメキシコボーイズ&ガールズ4人描くことができた!ありがとう!子どもたちに「どう描いて欲しい?」と聞くと、「漢字で名前を書いて欲しい」という希望の他、ボーイズは「マッチョに描いて」、ガールズの一人は「グラマラスに描いて」という希望を言ってきた。
「マッチョとかグラマラスという希望初めて聞いたよ…」と驚くもその通りに描いた。
子どもたちを描いた後、屋台をしている女性から「私も描いて!グラマラスに!あと売り物にしているハンバーガー持たせて」と言われたので喜んで承諾。
こちらが私が描いた似顔絵とハンバーガーの屋台のお姉さん。撮影のためにわざわざハンバーガーを用意して手に取ってくれた。とても素敵な笑顔の方だった。ありがとう!
屋台のお兄さんとも一緒に記念写真。彼は彼女の恋人。とても優しいカップルさんたちとこのお店に幸せあれ!
似顔絵を書き終わった後はカウンターで一休み。屋台の彼と彼女がジャスチャーとスペイン語で何か話してくる。何とか意味を読み取ろうとするもさっぱり分からない。彼女がスマホを使って日本語に翻訳し伝えてきた言葉はこうだ。
「夜に爪を切ると死を呼ぶ」
怖いよ!!
●●●
何故その話題をチョイスしたかは定かではないが、2021年になった現在も私は日中に爪を切ることにしている。
コメント 0