湯気が吹き上がる露天風呂


【今回の旅行記・おでかけの目次】>
① 河口湖の森の中にひそむお城「ガストホフリュミエール」
② これなら全盲の方も行きやすい!車送迎で、地元の人気フランス料理店へ!
③ 視覚障がい者も安心。客室露天風呂!
おわりに~ボクにとっての「バリアフリーな宿」って?
※宿のバリアフリー情報・概要


先日、友人から「全盲でも気軽に行けるオススメな宿はない?」と聞かれました。
さっそく「バリアフリー 宿」で検索。

すると車いすのバリアフリー情報は出てくるのですが、「視覚障がい者が行きやすい宿」の情報はあまりありません。

「ついにバリアフリーにも見放されたか。」とぶつぶつ言いながら、さらに検索。

しばらくして、「最寄駅からの送迎あり」「夕食の店まで送迎あり」「客室露天風呂付き」の宿が見つかりました。
しかも、「ユニバーサルルームあり」とありました。きっと障がいに対し理解をしてくれるはず。
そう思い、行ってみることに。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
① 河口湖の森の中にひそむお城「ガストホフリュミエール」
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

河口湖駅に到着。
すると、ご主人・青木潤さんが駅まで車で迎えにきてくれました。

牛丼屋、コンビニ、居酒屋などにぎやかな通りを進んでいきます。
5分ほどのところにある交差点を過ぎると、急に道の両脇が森に。

先ほどと打って変わって街灯もなく、森が広がり、別世界になっています。
ウサギやシカが出ることもあるんだとか。

しばらく森を進むと、西洋のお城のような建物が!
ここが「ガストホフリュミエール」でした。

森に囲まれている西洋建築の宿
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
② これなら全盲の方も行きやすい!車送迎で、地元の人気フランス料理店へ!
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

ご主人が手引きしてくれ、宿に到着。

宿の中はアンティークの家具、装飾品が。
ご主人のご両親が海外に足を運び、そろえたものなんだとか。

アンティークのスタンド


並んだオシャレな椅子
荷物を置き、さっそく夕食へ。
お店も車で連れて行ってくれるとのこと。
視覚障がいのボクらにとって、これはうれしいですね。

ガストホフリュミエールはご家族で経営されていて、以前福祉のお仕事をしていた奥様・青木愛さんが手引きし、車で連れて行ってくれました。

今回ボクが選んだのは、宿一押し、フランス料理やワインをいただける「BOUCHON LYON」。


レストランに到着し、さっそくコースをいただきます。

特に印象的だったのは、豚の西洋わさびソテー。
まろやかで、豊かな味わい、舌の上でほろりと肉がほどけました。


地元でとれた野菜も新鮮です。

グラスに入りアートな形になっている野菜


カップに入ったケーキ。
店内は肩肘はらずに入れる雰囲気で、敷居の高いお店に行くともじもじしてしまうおじさんもくつろげる場所でした。

料金もきっと都内だとお値段はりそうですが、「ガストホフリュミエール」と提携しているため1泊2食付きの宿泊費に含まれています。(ワインなどは除く)
普段なかなか行けないようなお店に行けるのはうれしいですね。

店内には絵画などもかけられている。



食事がすむと、また奥様が迎えにきてくれ、不思議となつかしいような、ホッとした気持ちになりました。


部屋の写真。部屋の窓を開けるとすぐ露天風呂が。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
③ 視覚障がい者も安心。客室露天風呂!
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

宿に戻ると、部屋の中を奥様が一つ一つ説明してくれました。
「何かあったら、内線電話してね!」と気さくに言ってくれました。

奥様が退室ののち、さっそく露天風呂へ。
部屋の窓を開けると、すぐそこに露天風呂が。


露天風呂を自分たちだけで使えるのは、ぜいたくですね。
ましてボクらにとってはありがたい。弱視のボクは大衆の露天風呂に入って、知らないおじさんのお尻を触りそうになった悲しい体験もありますからね。

入ってみると・・・
おー!!
気持ちいいいーー!!
しかも湯につかっていると、木々から運ばれる香り、緑の湿った空気を全身で感じられます。静寂な森に包まれている気分になります。

風呂から上がり、河口湖駅で買ったフジヤマビールを飲むのも格別です!

その夜はぜいたくな気分で床につきました。

1リットル近くある缶のボトルに入ったふじやまビール



翌朝、せっかくなのでもう一度お風呂に。

湯のふたをあけると、湯気がふわっと飛び出し、森の中に溶け込みます。


風呂に入ると、冷えた体が湯で温まりました。
湯につかっていると、鳥のさえずりなど朝の森の音が飛び込んできます。

昨夜とはまた違った形で森を感じながら入浴ができました。



※朝食の写真。朝食は宿で提供されていて、こちらもアンティークな食器がステキです。地元の名店の焼きたてパンはふかふかで優しい味わい。キッシュも野菜と卵が絶品。今まで食べたキッシュの中で一番おいしかったです。


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
おわりに~ボクにとっての「バリアフリーな宿」って?~
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

朝食を終え、また駅まで奥様に送ってもらうことに。
その時、奥様とゆっくりお話をさせてもらいました。

すると実は奥様、福祉のお仕事をされていただけではなく、ご自身が片耳に難聴を抱えるほか、障がいに関して積極的に取り組まれているとのことでした。

宿に来る前、取材依頼をした際にご主人が「先代の時にユニバーサルルームをつくったんです。ただ、福祉職をしていた妻から言わせると、十分ではない部分があるそうなんです。なのでぜひみなさんに来ていただきたいのですが、ご期待に沿えるか心配なんですよね」と言われていました。

奥様も「宿の前に段差があったりして課題があるんです。でもこれから取り組んでいきたいなと思ってるんですよね」と言っていました。

最後に奥様は、
「弱視の方から見て、どうだった?」
「どうしたら、もっと視覚障がいのある方をおもてなしできる?」
と聞いてくれました。

ボクは心の中で、「ボクらにとっては、こうやって理解してくれようとすることこそ、一番のバリアフリーなんです」と思ったのでした。





▼バリアフリー情報・宿の概要
〇視覚障がい者ポイント
・最寄り駅までの送迎あり。
・夕食の送迎あり。
・露天風呂付客室あり。
・手引きなどもしてくれます。
・露天風呂の湯船と外にそれぞれ段差があるため、部屋の案内の時しっかりと説明をしてもらった方が良いです。
・部屋から露天風呂に出る扉の開け方が少し難しいので、これも説明してもらった方が良いです。
・障がいに対して積極的に理解してくれるほか、アットホームな宿です。

〇車いすポイント
・ユニバーサルルームあり。
・宿の前に段差あり。
・障がいに対して積極的に理解してくれるほか、アットホームな宿です。

▼施設概要
河口湖 ペンション ガストホフ リュミエール
〒401-0301 山梨県南都留郡富士河口湖町船津5689-1
TEL:0555-83-5517
http://www.lumiere2003.com/


▼宿の近くのスポットの旅行記
【白杖おじさん放浪記】視覚障害の定番!河口湖音楽と森の美術館
https://www.cotravel.jp/diary/index.php?uniqueid=5eedb2cc660d9






男性/30代 視覚障害

東京都青梅市出身、練馬区在住の榎戸 篤(えのきど あつし)です。
テレビ番組の制作会社で働きながら、ライターをしています。

【障がい】
・視力は左0.04、右0。
・3歳の時、保育園で転んでケガをし、弱視に。
・現在は、白杖・単眼鏡を持ったり持たなかったりしながら、ふらふらしています。

【好きなモノ】
つけ麺/お酒/建築/読書/フロアバレー/ニュース

【執筆媒体】
・障がい者ライフスタイルメディア「Media116」
http://www.media116.jp/

・働く×障がいがテーマのコラムサイト「パラちゃんねるカフェ」
https://www.parachannel.jp/column/author/163/
など。

記事のご感想など、こちらにいただけると有難いです。
uj092021@yahoo.co.jp

記事は、ひとつひとつを丁寧に、懸命に、心をこめて・・・書かせていただきます!

旅行エリア
中部, 山梨県, 富士河口湖町
旅行期間
対象読者
視覚障害 聴覚障害 肢体不自由 車いす 歩行補助具 発達障害 精神障害 内部障害 高齢者 マタニティ 乳幼児連れ 補助犬ユーザ その他
見つけた設備・特徴 ピクトグラムの説明 新しいウィンドウで開きます

関連タグ
視覚障がい者弱視全盲こころのバリアフリー河口湖周辺山梨県東京近郊一人旅客室露天風呂送迎あり