シーラーズからはバスでイスファハーンへ向かいました。約8時間の長旅です。
イランはイスラム教国で、公共交通機関で家族以外の男女が隣同士で座ることはありません。男性に隣に座られるのが苦手という女性には、とても旅をしやすい国だと思います。
車窓から見える景色は砂漠です。時々オアシスが現れます。
テヘランからシーラーズに向かう飛行機からは、弱視の私には灰色の砂漠しか見えませんでした。バスで移動してみると、砂漠の広大さとオアシスの小ささが非常によく分かりました。かつてはオアシスから次のオアシスまで、ラクダで1日がかりで移動したのでしょう。そんな風に想像すると、緑の木々や鮮やかな花が咲くオアシスの街が現れる度、感謝の気持ちが沸き上がってきました。
翌日はいよいよ期待の世界遺産、エマーム広場の観光です。広々としていて、四方に美しいイスラム建築のモスクや王宮が立っています。広場には観光用の馬車も走っていました。
2本の尖塔が立つマスジェデ・エマームと言うイスラム寺院です。ここの前はいつも観光客でいっぱいでした。
建物全体がモザイクや細密画でとても美しいです。
入り口で上を見ると鍾乳石飾りがみごとです。なぜだか飛び上がって一個取りたい気分になりました。
エマーム広場にアイスクリーム屋さんがありました。イラン特産のサフランを使ったアイスクリームを食べてみました。
う〜ん、これは私には理解できない味。少し苦味があります。甘いものとサフランって、あまり合わないと思います。
エマーム広場は観光客だけでなく地元の人達の憩いの場でもあります。学校が終わり涼しくなる夕方には、子供達が集まってきてサッカーをしていました。
夜はエマーム広場がライトアップされます。
「女性一人で夜に外を出歩くなんて危ない」と心配されます。しかし、地元の家族連れが集まっている場所なら大丈夫だと思います。また、世界には昼間の方が危ないという場所もあります。私はいつもホテルのスタッフに、安全な場所や時間を確認して出かけるようにしています。
私が滞在したホテルは、エマーム広場から徒歩10分ぐらいの場所にありました。偶然なのですが、ホテルは大通りに面していて、歩道には黄色い点字ブロックが敷かれていました。
点字ブロックがある通りは少ないので、この写真を見せるとスムーズにホテルに戻れました。
ホテルからエマーム広場までは歩道が広く、英語の案内表示も整備されていてとても歩きやすかったです。
しかし、一つだけ難所がありました。車の通りが激しいのに信号機がない交差点です。弱視の私は慎重に車の流れが途切れるのを待ちますが、なかなか渡ることができませんでした。すると、誰かが声をかけてくれました。親切だなと思いきや、タクシーの客引きでした。交差点近くがタクシーの溜まり場だったのです。
「どこへ行くの?」、「安くしとくよ」、「1日案内してあげる」と次々に声をかけられるのです。鬱陶しいったらありゃしない。無視して通り過ぎました。
エマーム広場からの帰り道、難所の交差点でまたタクシーのおじさん達に声をかけられました。今度はホテル名を言って「ホテルは近いからタクシーには乗らない」と、はっきり断りました。すると、おじさんは手を引いて一緒に交差点を渡ってくれました。
その時から私のイスファハーン滞在は格段に面白く快適になりました。白い杖の日本人女性のことが運転手仲間に共有されたようで、ここを通ると誰かが必ず道路を渡してくれるようになったのです!
路線バスに乗ってみたいと言った時など、近くのバス停まで一緒に行って、バスに乗せてくれるということもありました。
イスファハーンにも世界遺産のペルシャ式庭園があります。チェヘル・ソトゥーン庭園博物館です。
庭園入り口で入場料を払った時、係りの人が私の白い杖に気がついて、「これがあると便利ではありませんか?」とオーディオガイドを無料で貸してくれました!英語ですが、とても助かったし、嬉しかったです。
イランの学生さん達に声をかけられました。ここでも一緒に写真に入ってほしいと頼まれ記念撮影。
イスファハーン3日目は少し遠出して、街の南側のジョルファー地区というアルメニア系の人達の多い地域へ行ってみました。美しいアルメニア教会と博物館があるのですが閉まっていました。うっかり金曜の午後に行ってしまったのがまずかった!金曜日はイスラムの休日だったのです。
時間ができてしまったのでブラブラとホテルまで歩くことにしました。途中にザーヤンデ川という大きな川があって、立派な石橋がかかっていました。
石橋の下では子供達が水の中を歩き回って大はしゃぎ。
男ってのはどこの国も無邪気な生き物のようで、おじさん達も楽しげに飛び石をぴょんぴょん渡っていました。
近くにはボート乗り場がありました。
私が行った5月にはこんな風に川には水があったのですが、最近は開発の影響で、春以外は水が枯れてしまうのだそうです。残念ですね。
川の近くは公園になっていて、ピクニックをしている人達が大勢いました。
でも日本とは何かが違う。あれ、もしかして敷物は絨毯?
あんまりジロジロ見てはまずいと思い、ゆっくりと歩きながら何家族も観察して確信しました。レジャーシートのグループもあるけれど、やっぱり絨毯を敷いている!布団まで持ってきている家族もいました。
さすがペルシャ絨毯の国ですね。そういえばシーラーズで絨毯織り教室を見学したのですが、ちょっと面白いものを見ました。絨毯織りアプリ!絨毯は細かい図面を見ながら作るのですが、アプリは色の番号などを音声で言ってくれるのだそうです。
素敵な雰囲気の家族がいたので思い切って声をかけてみました。
「こんにちは。日本から来たんですが。ピクニックはよくするんですか?」などと言って、写真を撮らせてもらいました。
別のところに座っている女性の写真も頼まれて撮影。とてもエレガントな女性ですよね。
「あなたも一緒に写真を撮りましょう」と誘われて女性達と一緒に記念撮影。
これらの写真を会社で見せたら、同僚達に「イランって平和なのね」とか「みんな美人でおしゃれだね」などと言われました。
写真を撮らせていただいた上に、ご馳走のおすそ分けまでいただきました。私はお返しに日本のお菓子をあげました。
ホテルで包みを開けてみると、薄いパンでほうれん草の炒め物を包んでありました。まろやかな優しい味でとても美味しかったです。
この街では沢山の人に親切にしてもらいました。パーティー会場の前を通ったら、薬草茶を渡されました。お菓子をくれるおじさんもいました。
ホテルの横の小さなカフェでは、私が顔をべったりと近づけてメニューを見ていたら、「これをあげましょう」と青年からカード型ルーペを渡されました。彼のおばあちゃんが目が不自由なのだそうです。
イスファハーンにはまだまだ見所がありますが、次回のお楽しみということで、バスターミナルへ向かいました。最後の目的地は美しい邸宅の街カーシャーンです。
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