イランに行く前に準備しておくもの。もちろんパスポートやビザは絶対必要。しかし、女性にはもう一つ重要なアイテムがあるのです。それは頭を覆うスカーフ。
どれほど重要かというと、イランでは外国人女性でもスカーフ着用義務があり、スカーフを被らないと飛行機を出て入国することさえできないそうです。イランの会社の飛行機だと機内からスカーフ着用だと聞きました。それから、露出度の高いノースリーブや、体のラインがくっきり出る服もダメです。私のような体型に自信のない者にとっては、むしろ大歓迎です(笑)。
日本からスカーフを持参しましたが、ドーハの空港にあるイスラムの衣裳屋さんで1枚買いました。ついでに巻き方を教わり、スカーフ留めのピンまで分けていただきました。
いよいよイランに入国。スカーフを被り、まずは緊張のビザ手続き。旅行会社からのメールを見せると、スムーズに手続きが進んで行きました。名前を呼ばれるのを待っていると、別の日本人女性を呼ぶ声が聞こえてきました。超ラッキー!彼女と一緒にテヘランの街に行こう。
私もすぐに名前を呼ばれました。ビザを貼られたパスポートを受け取って窓口から離れると、なんとさっき名前を呼ばれていた女性から声をかけられました。彼女も私に気づいていたようです。
空港で出会ったTさんは、イラン大好きのリピーター。毎度いろんな方のお宅に泊まり歩くので、どこよりもイラン旅行が一番安上がりなんだそうです。二人でタクシーをシェアして、Tさんは地下鉄の駅で降り、私はそのまま国内線の空港まで行きました。
テヘランの国内線空港ですが、英語表示がほとんどありませんでした。英語のアナウンスも滅多にありません。私がかろうじて理解できるペルシャ語は数字。聞いてわかるのは地名のみ。数字の読み方を覚えておくべきでした。シーラーズと聞こえるたびに誰彼構わずチケットを見せて確認していました。そんな私の様子に気がついた女性が、同じ飛行機だから一緒に行こうと声を掛けてくれました。
彼女のおかげで無事シーラーズ行きの飛行機に乗れました。国内線で短時間しか乗らないわりにスナックが充実していました。
イラン2日目は、旅行会社の阪野さんに案内していただき、市場やエラム庭園などを観光しました。
市場では黒い長袖の丈の長い薄手の服を買いました。暑い中スカーフを被っていなければならないので、コスプレと割り切ってイラン人っぽい格好で旅しようと思ったのです。
これがその黒い服。場所は翌日に観光したペルセポリスです。
市場で特に気に入ったお店がナッツ屋さん。イランはピスタチオの産地です。いくつか味見をさせてもらいました。
観光初日だというのに、ここで大量のお土産を買ってしまいました。レモンフレーバーとシナモンフレーバーのピスタチオをそれぞれ1Kg買いました。
レモンピスタチオは会社で大好評でした。お土産は休憩コーナーに置いておくのですが、あっという間になくなりました。
「あのぉー、まさかピスタチオがこんなに早くなくなるとは思わなくって、後でいただこうと思っていたらなくなっちゃって…。もうありませんかね?」
と、同僚から聞かれた時には吹き出しそうになりました。
お昼は庶民的な食堂で羊肉のケバブを食べました。イランでは昼食が一番豪華なのだそうです。夜は軽めでナッツやドライフルーツをつまむだけのこともあるようです。
イランではサラダがパック詰めのことが多かったです。他の料理は食器に盛られて提供されるのに、なんだか不思議です。
サフランライスです。サフランもイランの特産品です。かつては主食はパン中心でしたが、お米の栽培技術が良くなり、現在はご飯も沢山食べられているそうです。
5月でもシーラーズは気温30度ぐらいになるので、阪野さんの事務所に寄って休憩しました。女性ばかりなのでスカーフを取っても良いとのこと。やはりスカーフをずっと被っていると暑いし、慣れないのでずれ落ちてくるしで、正直疲れます。
休憩後は楽しみにしていたエラム庭園に行きました。しかし、その日は午後から小雨が降ってきてしまいました。青空の庭園の写真は、もう一度翌日に訪問して撮影したものです。
阪野さんと歩いていると女性に声をかけられました。私が白い杖を持っていたので、目の治療に来たのかと質問されたそうです。なんで?と思いますよね。
シーラーズ大学はイランで最初に腎臓移植を成功させた病院だそうです。実はイランは腎臓だけでなく肝臓など移植医療が盛んだそうです。中東諸国から医療ツーリズムに来る人もけっこういるそうです。
イランでは合法的な腎臓売買が行われています。アメリカから経済制裁を受け経済的に苦しいイランでは、透析より移植の方がコストを低く抑えられるため、移植が多くなっているそうです。しかし、景気が悪くなると闇売買が増えるという悲しい現実もあります。
現地に長く暮らしている日本人ガイドさんと一緒だと、こんな話も聞けて面白いです。
シーラーズでは1日だけガイドさんについてもらう予定でしたが、翌日もガイドさんをお願いしました。
ここまで来たら世界遺産のペルセポリスに行ってみたくなりました。シーラーズから日帰りできる距離ですが、路線バスを乗り継ぐのは少々面倒。ということで英語の話せるガイドさんを手配してもらいました。
最初に訪ねたのはピンクモスクと呼ばれるステンドグラスが美しいモスク。ですが、外観はピンクでもなければ、取り立てて派手さはない普通のモスクです。
モスクの入り口には沢山の靴。なんとも楽しげ。笑っているかのような靴の散らばり方。
私は物が整然と並んでいるのが苦手。見ているだけで窮屈で嫌なんです。ここはきっと私が楽しく過ごせる場所だと確信しました。
中に入ると、はい、本当にピンク!
正式名称はマスジェデ・ナスィーロル・モルクと言います。ここは太陽の光が差し込む朝の時間帯が美しいです。ステンドグラスの模様が柱や絨毯にも映って、うっとりしてしまいます。
続いてやって来たのはイラン観光のハイライト、ペルセポリスです。と言っても私は歴史が苦手。アケメネス朝ペルシアにより建設された紀元前500年頃の都、ぐらいのことしか覚えられません。
観光客が大勢いました。女性たちのスカーフの付け方とかコーディネートがステキだなと思ったら、多くはフランス人。イランってフランス人観光客がとても多いんだそうです。
青空に白い遺跡が映えます。ガイドさんから、こんなカンカン照りの日じゃなくて、本当は前日のような曇りの日にくるべきだと言われました。
しかし、明るい方が見やすい私にとっては、レリーフがくっきり見えてラッキーでした。
ペルセポリスには博物館があるのですが、ガイドさんによると、模型があるぐらいだから、お金を払ってまで見る必要はないそうです。出土品を見るならテヘランの考古学博物館に行った方が良いそうです。
それよりも丘に上がって全体を見渡そうと言われて登ってみたら、本当に雄大で素晴らしい眺めでした。
ペルセポリスの帰りは、そのままホテルには向かわず、ガイドさんと別れて前日行ったエラム庭園に行きました。
周りは樹木のほとんどない岩山なのに、こんなに緑と水が豊かな場所があるなんて!これがオアシスなんですね。
エラムガーデンはユネスコのペルシア式庭園という世界遺産の一つです。エラムとは天国の意味ですが、名前の通りの美しく華やかな庭園です。
庭園内には様々な植物が植えられていて、ペルシア語と英語で書かれたプレートも立っていました。
高くそびえ立つ木は糸杉です。
黒い服のイラン人女性達が散歩していました。こんな場所が家の近所にあったらいいなと思います。
エラム庭園の中にはエラム宮殿があります。宮殿の周りには池があり、皆さん入れ替わり立ち替わり、ここで記念撮影をしていました。声をかけられたので写真を撮って欲しいのかなと思ったら、写真に入って欲しいと言われました。私が日本人だと知ると次から次へと依頼がきて、まるでスターでした。
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