※現代の沖縄そばのイメージ
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
① 古来の沖縄そばが、ここで!「てんtoてん」
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
―――古来の製法を守る、沖縄そば屋がある―――
そんな情報を得て、ボクは国際通りから歩き始めました。
しかし突如、猛烈な雨が。
みんな水たまりをうまくよけていきますが、ボクは水たまりが見えず、バシャバシャ足を突っ込みます。
最初は「メッチャ濡れた!」と一人でリアクションをとっていました。
が、途中からノーリアクションで足を突っ込むように。
外から見たら、水遊びしてるおじさんにしか見えません。
と、やっと到着。
ボクの服は、着衣水泳の後みたいになってます。
店に入るのが、急に恥ずかしくなりました。
が、せっかくなので入店。
店の方は、白杖を持ったボクを気遣い、手前の席に案内してくれました。
さっそく名物、古来の製法でつくった「木灰そば」を注文。
この製法では、かん水は使わず、木の灰を水に入れ、その上澄み液をつなぎに使っているんだとか。
いただいてみると・・・
繊細なうどんのように、ぷるんとした食感。
後味がさっぱり。
「絶品か?」と問われると、「んー、どうでしょう」と言いたくなる味(←店の方ごめんなさい)ですが、素朴でホッとする味です。
沖縄そばの源流を知れて、何かうれしい気持ちにもなりました。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
② 世界遺産「識名園」のヒミツ
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
店を出ると、雨もやんでいました。
店の座布団を濡らしてきたことが悔やまれます。
気を取り直し、識名園(しきなえん)へ。
中国皇帝の使者をもてなすためにつくられた庭園なんだとか。
受付に行くと、「一緒に行きましょうか?」と親切に言ってくれました。
しかし、ボクは迷うことなく断りました。
着衣水泳姿で、もう人に迷惑はかけたくない。
もう罪を犯したくない。
すっかり刑期を終えた元受刑者のような気持ちになっていました。
入園すると、石づくりのデコボコな道が。
「ここ危ない!なんとかして!」と、白杖でポンポンやりつつ、進んでいきます。
そこを抜けると、沖縄と中国の様式が混ざり合ったような建物が。
建物に近寄ると、係員の男性が来園者に建築の説明をしていました。
話は聞きたい。
だけど、今のまま誘導させるのは申し訳ない。
「そうだ!」と、ここでヒラメきました。
白杖を折り畳み、健常者になりすます作戦。
「助けは必要ありませんよ」という余裕の表情を浮かべ、徐々に間合いを詰めるボク。
男性が笑顔で「ここで靴抜いてください」と声をかけてくれました。
よしよし、と靴を脱ぐボク。
ホッとしたのもつかの間、係員さん。
「あ、何かお手伝いしましょうか?」
きゃーーーー!!!!
バ、バレた!
この人、ワタシのこと見てたのね!
赤面するボク。
他人よりも目が悪い事実を、ここで思い知らされました。
気を取り直し、案内をお願いすることに。
実はこの男性、庭園のことを専門にする先生とのことでした。
「建物の段差、けっこうありますよ」と言う先生の手を借りながら、建物内へ。
先生の目を盗み、再び白杖をちょっとずつ伸ばしていくボク。
廊下を歩くと、芝生と池、沖縄の自然が感じられ、心地よい。
爽やかな空気を全身で味わいながら、木の香りのする柱を触っていると、風景の中に心が溶けていくような気持になりました。
識名園には展望台もあり、先生が連れて行ってくれました。
先生「ここからは海が見えないようにしてあるんですが、なんでだと思いますか?」
ボク「潮風を避けるためですか?」
先生「いえ。違います。ここには中国の使いが来ていたんです。その人たちに「琉球王朝って、海が見えないぐらいデカいんだよ」って見せたかったと言われています」
ボク「な、なんか、ウソがかわいいですね 笑」
先生「だから、使いをここまで案内する時も、まっすぐ連れてこず、遠回りさせて、土地を大きく思わせたんです」
大国に囲まれた琉球ならではの、防衛方法、ヒミツだったんですね。
そして先生は出入り口へ。
先生「沖縄戦で識名園のものはほとんど焼けてしまったんです。でも、これ」
と言いながら、ボクが入ってきたとき文句を言ってた石づくりの道を指差す先生。
先生「これは焼け残った貴重なものなんですよ」
ボク「へ、へ~。やっぱり歴史を感じますもんね~」
顔をひきつらせながら、ボクは中身のない言葉を吐いたのでした。
無知とは恐ろしいものです。
そのあと、先生はバス停まで案内してくれました。
時刻や行き先までしっかり調べてくれて。
最後に、「では」と言って、がっしり握手。
雨雲はすっかり晴れ、空は真っ赤な夕焼けに変わっていました。
夕日に照らされる先生の背中を見ながら、「また会えるかな」とボクは思ったのでした。
▼各施設の詳細情報
■てんtoてん
営業:11:30~15:00
定休:日・月
アクセス:那覇バス 2・3・4系統「識名」下車、徒歩1分、沖縄都市モノレール線「安里駅」より徒歩32分(タクシー10分 900円前後)、沖縄都市モノレール線「首里駅」より徒歩40分(タクシー10~15分 1000円前後)、沖縄都市モノレール線「壺川駅」より徒歩55分(タクシー10~15分 1000円前後)
TEL:098-853-1060
住所:沖縄県那覇市識名4-5-2
○弱視ポイント
・モノレールの駅からは遠いので、バスかタクシーがオススメです。
・住宅街にあり、店の場所が少しわかりにくいかも。
・店内は照明弱め(ただ窓が大きいので、晴れている日中に行けばある程度見やすいかも)
・入り口で靴をぬぐ形式。
・ボクの場合、店員さんにお願いし、あいていたので、出入口側に座らせてくれました(出入口すぐの席は靴抜いてすぐのところにあるので、移動は楽です)。
・店員さんは親切で、席の配慮、メニューの読み上げなど対応してくれました。
■識名園
営業:
4月1日~9月30日→9:00~18:00(入場締め切り17:30)
10月1日~3月31日→9:00~17:30(入場締め切り17:00)
休園日:毎週水曜日(その日が休日又は「慰霊の日」(6月23日)のときは、その翌日)
アクセス:識名園前バス停下車
市内線(那覇バス)
2番 識名・開南線
3番 松川新都心線
4番 新川おもろまち線
5番 識名・牧志線
14番 牧志開南循環線
入園料:大人400円、中学生以下200円(団体・大人320円、中学生以下160円)、就学前 無料
※障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳提示で、本人と介助者1名無料
TEL:098-855-5936(識名園管理事務所)
URL:
https://www.city.naha.okinawa.jp/kankou/bunkazai/shikinaen.html
○弱視ポイント
・バス停から降りてすぐなので、場所は見つけやすいです。
・石橋や石畳の道があるため、少し歩きにくい箇所があります。(ちなみに、歩きやすい靴で行くことがオススメです)
・事務所の方・園内の方など、声をかけてくれる方が多いので、案内をお願いしやすいです。
・ガイドボランティアの方に案内をお願いできる日があるようです。
※各施設の情報は、必ずお出かけ前にご確認・お問い合わせください。
▼参考ページ・書籍
Smart Magazine OKINAWA 「琉球王朝文化と自然!世界遺産「識名園」の意外な楽しみ方」
https://www.smartmagazine.jp/okinawa/article/sight/10366/
沖田民行著「沖縄世界遺産写真集シリーズ02識名園」(ゴマブックス株式会社)
▼引用ページ
イラスト&フェンス上の青空の写真は引用、ACイラスト等
https://www.ac-illust.com/?yclid=YSS.1000030510.EAIaIQobChMIqbfpvcrh7AIVTsEWBR3ghQvoEAAYAiAAEgJmAPD_BwE
コメント 6