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東京都営地下鉄春日駅下車すぐの文京区民センター1階にあるソーシャルカフェ「Sign with Me(サインウィズミー)」に行ってきました。4・5月にコロナで休業し、営業再開して間もない時でした。店員が全員手話者(聴覚障害者中心)で、手話コミュニケーションでオペレーションするスープカフェです。手話のできない一般の人も気軽に利用できます。

Sign with Meのカウンター。メニューがあります
スープは15種類。
・広島産カキのクリームチャウダー
・柚子香る鶏白湯と水餃子のスープ
・もちもち水餃子の海老味噌スープ
など、どれも具だくさんのヘルシーメニューです。詳しいメニューはSign with MeのWEBサイトをご参照ください。(http://signwithme.in/menu/

このほかにも6種類のパスタ、シーフードパエリア、ガパオライスもあります。

筆者は手話ができないのですが、カウンターでメニューを指差して注文できました。

茸とソーセージの5種野菜ポトフ ご飯・サラダ付きセット
「茸とソーセージの5種野菜ポトフ」をいただきました。ポトフにはソーセージ、ジャガイモ、ゆで卵、キャベツ、エノキ、ブロッコリーが入っています。フランス料理で使われるフォンドボーを使用したまろやかスープで、あっさりした味です。

提携店ベリーベリースープのボード
Sign with Meには長野県のスープ専門店「ベリーベリースープ」と提携しており、「ベリーベリースープ」のメニューが提供されています。
店内にはベリーベリースープのボードが掛かっています。
「わたしたちがたいせつにしている、8つのこと。
あったかいスープでみんなを幸せに!
ながののちいさなスープ屋さんがはじめたおおきなゆめ。
たいせつななかまたちとともに全国に展開中。
とどけるのは野菜、お肉、お魚、ごろごろからだにやさしいスープ。
のんでしあわせ。たべてしあわせ。あふれる笑顔。
みんなに「ありがとう」と言ってもらえるように私たちも一歩ずつ成長します。
たくさんの種類のスープと、サラダ、パスタ、デザートもいっぱいご用意。
いつも笑顔でおまちしております。」

テーブル席、黒板、棚
テーブル席のすぐ後ろの壁には黒板があり、客からの励ましのメッセージが書かれています。棚には手話のテキストやSign with Meに関する書籍が並んでいます。

インタビューに応じる柳さん
Sign with Meを運営する一般社団法人「ありがとうの種」設立者兼代表の柳匡裕(やなぎまさひろ)さんが、インタビューに応じてくださいました。コミュニケーションはノートPCやスマホをWiFi接続して、会話の文字化アプリ「UDトーク」を使って行いました。
「私の母語は日本語と文法の違う日本手話で、日本語では言いたいことの本質がなかなか伝わらないこともあるのですが」と語るろう者の柳さん。筆者は柳さんのペースを尊重し、言いたいことの本質に耳を傾けるようにインタビューを進めました。

柳さん:私は、「選択肢を創る自由」を大切にします。ろう者は「保護の対象」というスティグマ(らく印)の影響から免れずにいます。ろう者には、限られた選択肢から選ぶしかない現実があります。例えば仕事の幅がそうです。私は障害者雇用で就職したものの、仕事らしい仕事がなかった経験もありました。
社会はマジョリティである聴者のルールで動いている以上、私たちろう者は彼らに合わせるしかないのです。私はろう者であることを障害と思ったことは一度もありません。けれど私は障害者であることを受け入れています。障害者は社会に起因するものです。社会が音声言語を中心に動いており、社会が日本手話を受け入れないために、ろう者は障害を被っているのです。こうした現状を変えようと、起業しました。
私は、ろう者の課題を「福祉ではなくビジネスで解決する」というアプローチを採っています。なかでも飲食業を選んだのは、聴者がろう者とリアルに触れ合える機会が何より大事、と考えたからです。ろう者が「ありがとう」と言うばかりでなく、他人から「ありがとう」と言ってもらえる体験ができる場所にしていこう、という思いもあります。Sign with Me運営を通じて、ろう者の選択肢を創り出していきたいです。

「仕事旅行」のWEBサイト「手話&筆談カフェ店員になる旅」
(「仕事旅行」のWEBサイト。「声や音を使わず働いてみると気づきがある。手話カフェで「伝わる」ことの難しさとよろこびを知る 手話&筆談カフェ店員になる旅」http://www.shigoto-ryokou.com/detail.html?jid=102

柳さん:Sign with Meには「仕事旅行」という1日だけ店員の仕事を体験できるプログラムがあります。これまでに30人程度受け入れてきました。その中にはアスペルガー症候群やうつ病の人もいました。まずはお試しで働く体験をしてほしいですね。
Sign with Me運営には、美談ばかりでない厳しい現実もあります。企業で働くのが難しい事情から応募してくる障害者が少なくありません。しかし誰もがカフェの仕事ができるわけではありません。特に何でも支援されることが当たり前で育ってきて、仕事を始めるとうまくいかず、つまづいている障害者が多いのが現状です。
どうしたら「早く、正確に、美味しい」食事を提供できるか。それは相手のことをどこまで考えられるかだと思います。お客様は1時間の昼休みを使ってランチに来ます。丁寧に作っていたら相手の貴重な時間を奪うかもしれないのです。当たり前なんですが、ろう者もビジネスでは相手を尊重することが求められます。ビジネスの基本はウィンウィンです。ここには、時にマジョリティのルールといかに折り合うかというもどかしさを感じることもありますが、ウィンウィンの関係を構築するという基本を大切にしています。
実際、周りに合わせてばかりだと疲れてしまいます。ただ、自分の好きなことに熱中するのは楽しいですよね。好きなことに関心を持つことが「がんばる」ことじゃないかなと最近気づきました。もちろん、その延長上で厨房の仕事なら熱中できるという人もいます。
特にマジョリティルールに合わせるのが難しい人は「仕事旅行」のようなサービスをどんどん使うといいと思います。

柳さんの著書「Sign with Me 店内は手話が公用語」
柳さんの著書「Sign with Me 店内は手話が公用語」。この本に、柳さんの幾多の挫折やSign with Meを開業するうえでのエピソードが書かれています。

手話で「ありがとう」と言う筆者
手話で「ありがとう」と言う筆者。左腕の肘を曲げて逆L字型にし、右腕で手首をチョップします。

いま飲食業はどう生き残っていくかの正念場に立たされています。
Sign with Meにはこれからも、ろう者と聴者関係なくコミュニケーションできる憩いの場として存在し続けてほしいですね。

女性/30代 発達障害

女性障害者メディア「ココライフ女子部」、障害者雇用メディア「ミルマガジン」などで執筆。寄稿、翻訳多数。大学生で発達障害と診断されるが、障害者と健常者での富士登山などを通して、挑戦や多様性の価値を信じる。海外の多様性にも関心あり。
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旅行エリア
関東, 東京都, 文京区
旅行期間
対象読者
視覚障害 聴覚障害 肢体不自由 車いす 電動車いす 歩行補助具 発達障害 知的障害 精神障害 内部障害 高齢者 マタニティ 乳幼児連れ 補助犬ユーザ その他
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