スタバnonowa国立店内でパートナー集合写真

     


手話が共通言語の「スターバックス コーヒー nonowa(ノノワ)国立店」が開業。聴覚障害者が働く飲食店はまだ珍しいですが、共生社会やダイバーシティの時代を作っていく存在として注目されています。コロナ禍で飲食業界が未曾有の苦境のなかでの出発。筆者は早速初日に訪れました。

(写真はスターバックス コーヒー ジャパン 株式会社広報より提供)

スターバックスnonowa国立店外観
JR中央線国立駅中央改札を出てすぐの商業施設nonowa国立1階の南北通路沿いにある、スターバックス コーヒー(以下スタバ) nonowa 国立店。コロナウイルス感染防止対策が採られています。

店内立て看板
店内立て看板。「Welcome to Signing Store! Proudly served in sign language. 自分らしい言葉と表現でつながりの“輪”を作りませんか? STARBUCKS」

STARBUCKSを表す指文字が横に並べて描かれた看板
見た目やロゴは通常のスタバと変わりませんが、看板がSTARBUCKSを表す指文字(米国手話)が横に並べて描かれたデザインです。

緑のエプロンと耳マークのバッジを着けるパートナー
パートナー(スタバでは店員をこのように呼んでいます)は、指文字が刺しゅうされた緑のエプロンを身に着けています。“Please Face Me”の文章と耳のマークのある黒いバッジは、「ぜひ顔を見てお話しましょう」というメッセージ。聴覚障害のパートナーはエプロンにこのバッジを着けています。

筆者はそれを見て、「聴覚障害の人は後ろから声をかけられても気付けないので、正面を向いて声をかけるんだったね」と改めて気付きました。

店内の様子。手前に客席、向こうにカウンター。
店内の様子。手前にテーブル席、奥にカウンター。

店内の様子。手前にスタバのグッズ。
店内の様子。手前にスタバのグッズが並んでいます。

来店者へのメッセージの書かれた薄い茶色の木の壁
入口のすぐ左にある薄い茶色の木の壁に、メッセージが日本語と英語で書かれています。
「コーヒーを飲みに来た人も、働いているパートナーも、みんなが自分らしくいられる場所をつくりたい。ここは、そんな私たちの想いから生まれたお店です。自分の可能性を信じ、一緒に育んでいきませんか。」

メッセージの隣の黒いボードには「おしゃべりな手」という題のアート。木が描かれ、枝にパートナー全員の写真が1枚1枚。この作品の作者は手話が題材の作品を手掛ける門秀彦(かどひでひこ)氏です。

デジタルサイネージ、手話動画と呼び出し番号が表示
天井までの高さのデジタルサイネージには「こんにちは」「楽しんでください」など手話を習える動画が流れています。その下に呼び出し番号が数字と手話で表示。注文を待つ間に手話を楽しめます。

カウンター
カウンター。感染防止のための透明のシールドが。パートナーは、聴覚障害のある人が19人、ない人が6人。パートナーは聴覚障害者が口の動きを読み取れるように、透明マスクを着けています。

手話で接客する女性パートナー
手話で接客する女性パートナー。

メニューシートで指差し
筆者は手話ができませんが、戸惑いながらも、メニューシートで指差し、パートナーの身振り手振りを見ながら、コミュニケーションをしました。紙バッグを持つ手振りで「お持ち帰り」を意味していることを理解できました。

暑い日だったので、アフォガードフラペチーノとチョコレートチャンククッキーをテイクアウト。支払いはICカードで。

手話で接客する男性パートナー
手話で接客する男性パートナー。

手話で接客する女性パートナー
手話で接客する女性パートナー。

中には手話で注文するお客さんもいて、ちょっとうらやましく感じました。

筆談具
注文は手話のほか、筆談具でもできます。

音声入力システム
音声入力システム。注文の商品や希望をタブレットに向かって話すと、それが文字で表示され、パートナーへ伝わります。

デジタルサイネージに呼び出し番号が表示される
注文したら呼び出し番号の書かれたレシートを渡されます。デジタルサイネージに呼び出し番号が表示されたら注文したメニューを受け取ります。

今年スタバは海洋プラスチックごみ対策の一環でプラスチックストローから紙ストローに切り替えました。筆者は紙ストローで飲むのは初めて。紙ストローは、確かに飲み物に数分間挿しているとふやけます。ですがプラストローに比べて、特に飲みにくい、まずいとは感じませんでした。なかなかよくできています。

客席の並ぶスペースの壁にカラフルなアート
店内に門秀彦氏のアートがもう1つ。テーブル席の並ぶスペースの壁に、手話を表すカラフルで温かい印象の絵が横長に飾られています。

壁にかかる手話のカラフルな絵
この絵を眺めながら手話を学べそうです。

壁にかかる手話のカラフルな絵
絵には、「OMATASE(お待たせ)」「THANKS(ありがとう)」など接客用語や、「OISHII(おいしい)」「SWEETNESS(甘い)」「BITTER(苦い)」など味を表す言葉、「LATTE(ラテ)」「ESPRESSO(エスプレッソ)」「FRAPPUCCINO(フラペチーノ)」「MILK(ミルク)」などスタバのメニューを表す言葉も。ここで覚えた手話はすぐにスタバで応用できそうですね。

車いす用テーブル
車いす利用者への設備もあり、店内に車いす用テーブルが2つあるうえ、同じ商業施設内1階にバリアフリートイレがあります。

手話で会話するパートナー
スタバのサイニングストアは、マレーシアに2店舗、米国に1店舗、中国に1店舗あり、日本での出店は初めて。日本法人では、聴覚障害のパートナーが社内で自主的に、手話カフェや手話によるコーヒーセミナーを開いていました。やがて「自分たちでお店をやってみたい」という声が上がり、2018年から聴覚障害者が中心となって実際に店舗運営を数時間行うプログラムを7回実施。これらの活動と、ほかのサイニングストアからの経験も取り入れて、出店が実現。

nonowa国立店から歩いて20分ほどの距離のところには都立立川ろう学校があります。開業がこの場所になったのもそうした背景から。ろう学校の生徒や家族にとって、手話での交流の場になり、聴覚障害者が健常者と共にスタバで働く光景を見られます。

また、地方に住む聴覚障害者が観光に訪れそうです。
私に聴覚障害があれば、このような店ができたことに感謝します。希望になります。

「手話が共通言語のスタバオープン」のニュースは、新聞・webメディア数社が取り上げました。朝日新聞デジタルは、「ほかの店舗では聴覚障害者が従業員同士の会話に追いつけず、ポテンシャルを発揮できないことがあった。聴覚障害者も健常者も働きやすい環境にした」という担当者の話を紹介しています。(6月25日付「聴覚障害者らが手話で接客 スタバの新店、27日開業へ」)

ここで、スタバの障害者雇用事情をご紹介します。2020年6月現在、障害のある従業員は350人以上(聴覚障害者はおよそ65人)働いており、そのほとんどが店舗勤務。スタバにはチャレンジパートナーサポートプログラムという制度があります。この制度では、聴覚障害に限らず障害がありながらパフォーマンスを発揮するための専用トレーニングツールやサポートツールが提供されたり、勤務時間など働き方の調整、業務を通じて成長していくためのコーチングの提供、アルバイトから正社員登用を目指す、などができるそうです。アルバイトからの正社員登用はすでに150人以上の実績があるとのことです。
保護者や支援センター・出身校の教職員との連携も。知的障害や精神障害の人もがんばっています。

シルウォッチとスクリーン
コーヒーのドリップ時間などを音ではなく時計の振動で確認する「シルウォッチ」。サポートツールの1つ。

パートナー2人
入口付近で、パートナーの写真。

パートナー3人
STARBUCKS指文字の前で、パートナーの写真。

一日も早いコロナ終息を望みます。これからもますますの発展を。

女性/30代 発達障害

女性障害者メディア「ココライフ女子部」、障害者雇用メディア「ミルマガジン」などで執筆。寄稿、翻訳多数。大学生で発達障害と診断されるが、障害者と健常者での富士登山などを通して、挑戦や多様性の価値を信じる。海外の多様性にも関心あり。
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旅行エリア
関東, 東京都, 国立市
旅行期間
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視覚障害 聴覚障害 肢体不自由 車いす 電動車いす 歩行補助具 発達障害 知的障害 精神障害 内部障害 高齢者 マタニティ 乳幼児連れ 補助犬ユーザ その他
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