砂漠の砂丘で佇む著者

     


2017年の3月の終わり、私はジャイサルメールに来ていた。

タール砂漠の真ん中にある北インドの砂漠の町だ。隣国パキスタンの国境まで100km。(ちなみに東京駅と宇都宮駅間は新幹線距離で109km。著者が住んでいる仙台から東京より近い)

日本が鎌倉時代であった12世紀にジャイサルという王様が築いたところで、かつてはシルクロードの中継地としても栄えたところだ。

町には砂岩で作られた大きな城がそびえ立っている。城だけではなく家々も砂漠の土でつくられた街は日に照らされ”黄金の町(ゴールデンシティ)”とよばれるようになった。

私はオールドデリー駅から寝台列車で17時間半以上もかけここにきたのである。


話は数日前にさかもどる。

砂漠で満天の星空を抱いて眠る。絵本みたいなシーンを思い描いたことはないだろうか。「砂漠で寝てきた。星がきれいで最高だよ」とジャイサルメールを旅してきた人が話してくれた。

3月の中ごろのことだった。

インド人にジャイサルメールに行ってみたいと話すと、

「行きたいなら早く行ったほうがいい。これからの暑いシーズンの旅行は死ぬぜ」


インドの旅シーズンは冬から春あたりがベストで、4月に入ると猛暑になるからだと教えてくれた。そんなわけで4月に入る前にジャイサルメールに行こうと決めた。

デリーからジャイサルメールに行くには最寄りのジョードプルまで飛行機で行きそこからバスか列車でいくの方法が早くつける。しかし、私は寝台列車で行くことにした。片道だけでも1日のほとんど費やしてしまうが、飛行機よりも格段に安く行けるからだ。

ニューデリー駅の外国人専用窓口で寝台列車のチケットを予約した。空調のある席のチケットだ。



駅のホーム、横格子がはまった窓の列車、軍服の男や荷物を抱えた人たちが歩いている
オールドデリー駅構内。

私は寝台列車に今まで乗ったことがなかったので人生初の寝台列車の旅ということと、それをインドで経験することにワクワクした。

そして長時間かけてなんとかお昼頃にジャイサルメールに着くことができた。

日本人宿のホテル東京パレスジャイサルメールに着くなりすぐに受付でキャメルサファリ(らくだ乗って砂漠を巡るツアー)を申し込んだ。

申し込んだツアープラン内容は以下の通り。
1泊2日コース プラン A : Rs1,950 ※テント+Rs300
【夕日観賞、ディナー&キャンプファイヤー、砂漠で就床、朝日観賞、村観光】

テントで寝るプランとテントなしで寝るプランのどちらかを選べる。私はテントなしのプランを選んだ。

ホテル東京パレスジャイサルメールのHP(http://tokyopalace.net/ja/)がある。日本語で他のキャメルサファリのプランの詳細やジャイサルメールに行く交通手段の情報もある。


15:00に宿のロビーに集合。少し時間に余裕ができる。


レンガの壁、ツインベッドの上にダイヤに見えるように置かれたクッション、窓辺ベンチのある出窓
集合時間まで部屋で休むことができ、シャワーも使わせてもらった。素敵な部屋だ。




小さな何か、ボウルいっぱいのカレーとチャパティ、あぐらで座る著者
ホテル東京パレスジャイサルメールの屋上で昼食をすませる。

ちなみに私はインドで、30代にして、初めて髪を染めた。
決して先日行われたホーリーの後遺症で金髪になったのではない。



遠くに円柱が並んでいるような大きな城壁、画面右に黒い何か
屋上からはジャイサルメール城塞が見えていい眺めだ。



・・・少し話がそれてしまうが、



ここで上の写真の右側の物体にある物体が何なのか気になった読者はおられるだろうか。



何かの正体、デフォルメされた恐竜の口にブタ面がはさまっている
これは”食われかけ君”という私が自作した人形だ(陶器製)

「なんだコレは」という読者の心の声が聞こえるようだ。唐突で申し訳ない。どうか説明させて欲しい。

私はひとり旅がほとんどだ。

思い出の写真を撮るたびに自撮りや他の人に撮ってもらうのは疲れる。
そして、ただ風景の写真を撮るだけではなにか物足りない。

そこに私が来た証として、私の代わりとして、または写真のユーモア要素として、自己顕示欲の表れとしてできたのがこれだ。

私の旅の相棒として、これからの写真の端々に登場することになるだろう。何卒ご容赦されたい。


さて、話をジャイメールに戻す。

昼食をすませた後、あっという間にキャメルサファリ出発の時間がきた。旅のメンバーは私を含め5人だ。日本人が私の他に2名いた。





座るらくだたちと著者、遠くに白い車、著者の手には食われかけ君が乗っている
写真奥の白い車で砂漠への出発地点、ラクダのいるところまで行く。ラクダに乗るのは初めてだ。ワクワクする。

キャメルサファリのスタッフがラクダに食料を積み準備を始める。




鞍を乗せたらくだが2頭
ラクダの装備はまるでアラビアンナイトの世界のようだ。



親指をポーズをした著者を乗せて立っているらくだ、ターバンとベスト、ローブ姿の人がらくだに物を乗せてい
ラクダが座っている状態から鞍に乗るのだが、ラクダが立つ時がこわい。グワッと前後に強く揺れる。




ローブ姿の男がラクダを率いる、らくだにのったインド民族衣装をきた女性、らくだの後頭部
いざ砂漠へ。砂漠へは案内人兼コックの人がメンバーに加わる。



アスファルトのない地面、小学校低学年くらいで半袖長ズボンの少女
道中、砂漠にある家から走ってきた少女が私たちに笑顔で手を振り見送ってくれた。




砂漠に映った4頭のらくだの影
ラクダたちは縦一列に並んで進む形だ。馬に乗る時より高い位置でゆらゆら動いて若干こわい。鞍の突起部分をしっかりと握る。

しかしこのラクダたち、顔が痒いのか、気性が荒いのか前のラクダにアタックするのである。
当然急に動くのでバランスを取るのが大変だ。

時には砂漠に点在する藪に分け入って行く時がある。バリバリ体が擦れて気持ちいいかもしれないが乗っている我らも擦れる。

ラクダは中々ワイルドでなかなか刺激的だ。のんびり撮影していたら衝撃でカメラやスマホを落としてしまうかもしれない。



サングラスとスカーフで顔が覆われている著者、後ろにらくだに乗った二人の男
神経を研ぎ澄まし片手で自撮りをする。




木陰のベッドで休む男3人と女1人、奥にローブの男
周りが砂丘しか見えなくなったところで目的地に到着した。小さな木陰にはベッドやテントが置いてある。

ラクダから降りて砂漠に降りると砂の感触が気持ちいい。


砂の上に体を投げ出しているらくだ、手前に食われかけ君
仕事が終わり、早々にだらけるらくだ。

砂の上にある簡易ベッド、ベッドの上にペットボトルがある


簡易ベッドに寝そべる著者、バッグを枕にしている、サンダルが砂に埋もれている
寝床は木と布でできた簡易ベッドだ。砂漠の上にポンと置いてそれで終わりだ。野宿というものに憧れていた私はワクワクした。

寝るときは補聴器はメガネケースに入れて、更にポーチの中に入れてそばに置いた。砂漠の上に落とすとすぐに砂が被さり見失ってしまうだろう。

さて、砂漠にきたら記念写真タイムだ。
日本のほとんどの人が幼い頃公園のお砂場で遊んだ。大人になると誰もお砂場では遊ばない。

お砂場ではスケールが小さすぎる。大人になると見渡す限りの砂漠がいいのだ。



夕日をバックに砂を巻き上げ走っているいる著者
砂遊びをする大人。

砂漠を走っている著者の背中


ガニ股になって砂丘を登る著者


夕日をバックに走るポーズをとる著者
砂丘を登ったり降りたり、夕日をつかって撮影して各々楽しむ。



青いローブのコックが料理を作っている、焚き火に丸く平たいフライパンを乗せ小麦粉生地を焼いている
夕日が沈む頃に夕飯の支度ができた。

一緒にいた人から遠くから音楽が聞こえると教えてくれた。キャメルサファリの人たちに踊り子が舞を披露しているのだろう。



焚き火に佇む男と座っているローブの男
夕飯が終わり焚き火も小さくなると早々に床についた。

隣にいる人の顔も見えないほど真っ暗だからだ。砂漠も夜になると肌寒かったので配られた大きな布を巻きつけて仰向けになった。

星がとても綺麗だった。天気にも恵まれたおかげで満天の星空が視界に収まらないほど広がっていた。

最高の野宿だ。

しばらくの間眠らなかった。

持っているカメラでは星空を撮ることはできなかった。目に焼き付けたいと思ったがあまりに広い星空で視点が定まらない。

夜明けをみるために寝る体勢をうつ伏せに変えて星空を振り切るように寝た。空を見ていてはいつまでも眠れなかった。

あの言葉を私もこの場で言おう。



「砂漠で寝てきた。星空がきれいで最高だよ」

男性/30代 聴覚障害

外国に行くと「ケニチロ」と呼ばれてしまう著者。
宮城県仙台市在住。生まれつき両耳70dBの聴覚障害があり補聴器をつけている。口話と手話を使う。英語など外国語が話せないが海外では知っている単語やジェスチャー、筆談を駆使してコミュニケーションを取る。
イラストなどのグラフィックや似顔絵の仕事をしている。読書や旅が大好き。この世界のことをもっと知りたい。私の旅の話が読者の旅の役に立てれば嬉しい。
障がい者のライフスタイルメディアMedia116で漫画連載。URLはこちらhttp://www.media116.jp/
ケンイチローのTwitterはこちらhttps://twitter.com/tdk1r

旅行エリア
アジア, インド, その他の観光地
旅行期間
対象読者
聴覚障害
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なし
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